2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520059
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
齋藤 哲 島根大学, 法文学部, 教授 (70235050)
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Keywords | 付帯私訴 / 参審制度 / 裁判員制度 / 司法参加 / 犯罪被害者の保護 / 刑事調停 |
Research Abstract |
課題の研究を推進させるべく、次の4点から研究を進めている(中間報告)。 まず、わが国においても戦前実施されていた付帯私訴制度の実態調査である。裁判例として残されている付帯私訴は意外にも相当数ある。今後の課題になるが、相当数残された裁判例があるにもかかわらず、付帯私訴制度が廃止された理由は何か、実態を踏まえた変革的考察が必要になると考えている。それとともに、今日なお制度を維持させている欧州の付帯私訴制度の評価を調査中である。 次に、平成12年からわが国において制定された犯罪被害者の救済に関する法制度の検討を行っている。刑事手続において収集された資料の開示が行われるようになったが、その内容は必ずしも十分なものとはいえない。しかし、刑事手続の維持や個人情報の保護の問題もあり、被害者救済のための開示も少なからず制限がありうることも否めない。付帯私訴制度における被害者救済との関係から、現行制度が適当なものであるのか考察を加えようと考えている。 平成18年頃に実施が予定されている裁判員制度についても検討中である。司法制度改革審議会の提示した制度は、さしあたり刑事司法における市民参加制度であるが、将来的には民事司法における市民参加も考えなければならない。一方、間接的参加ではあるが、現行法実施されている制度は調停等民事手続においてである。民事手続において行われている諸原理が、裁判制度の設置に少なからず参考になると考えている。 さらに、わが国においては経験のない刑事調停の研究である。ノルウェーにおいていち早く実施された刑事調停の創設者ニール・クリスティの思想を研究中である。クリスティの論文は、近い将来紹介できることであろう。
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