2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520059
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 哲 東北学院大学, 法学部, 教授 (70235050)
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Keywords | 附帯私訴 / ADR / 社会福祉における苦情解決 / 児童虐待 / 私訴 / ニルス・クリスティーエ / 刑事調停 |
Research Abstract |
「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」および「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」のいわゆる犯罪被害者保護法の二法が平成12年に公布され、同年そして翌年から施行されるにいたった。これにともない、刑事手続および民事手続がますます隣接するものとして把握、理解されるにいたっている。本研究では、まず、近代法制度における原点として附帯私訴に焦点をあててきた。かつて我が国において公布施行されてきた附帯私訴の沿革と、今日いまだ廃止されずに利用されている母法国ドイツやオーストリアにおけるその流れと現状に着目した研究を進めてきた。これらについては、現在、資料の整理中である。 次に、民事および刑事の手続が分化された制度下における融合の手続として北欧において浸透しつつある刑事調停における研究に着目してきた。これは一種のADRといえる制度であるが、その目指すものは紛争解決のみならず犯罪抑止をも含んだいわば刑事政策的なものでもある。これは今日我が国において必要かつ有益な制度として活用されるストーカー行為等の規制等に関する法律、児童虐待の防止等に関する法律、配偶者からの暴力および被害者の保護に関する法律など、司法の家庭への介入に関する法律を検討するうえで示唆するものが少なくない。北欧における刑事調停の提唱者であるニルス・クリスティーエ(ノルウエー)の思想を近々紹介する(東北学院大学論集第63号以下掲載予定)。平行して、我が国において家族の問題と刑事の問題の交錯する児童虐待問題や民事請求と刑事問題がしばしば競合する社会福祉における苦情処理方法について実態調査を含めた検討を行ってきた。前者については法と心理学会大会においてワークショップを主催した(報告要旨は「法と心理第4巻」に掲載予定)。後者は現在法制化が進められているADR法に繋がる研究でもあり、「社会福祉における苦情処理」(仮題)として掲載する(掲載誌模索中)。
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