2003 Fiscal Year Annual Research Report
日・豪・米のコンプライアンスを軸とした消費者法システムについての比較法政策的研究
Project/Area Number |
14520068
|
Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
TAN M.G. 帝塚山大学, 法政策学部, 助教授 (60299146)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 恒雄 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20127715)
|
Keywords | コンプライアンス経営 / コンプライアンス / 自主行動基準 / 行動規範 / ADR / 消費者法システム / 共同規制 / 消費者法 |
Research Abstract |
平成15年4月に、ギリシアのアテナで国際消費者法学会で、開かれた国際消費者法学会で、松本とタンは研究成果の共同報告を行った。この発表は、本研究の成果を元に、自主行動基準、業界団体運用型の行動規範およびADRをコンプライアンス・メカニズムとして注目し、国内外の現状を報告したものであった。当報告は、様々な報告の中から選定され、本年度中に出版される予定である。 タンは、豪州が推進している業界団体運用型の行動規範およびADRについて、法令とのリンクという観点から注目した。そこで、行動規範およびADR期間は、様々な形で法令とリンクをされており、その有効性を確保されていることが分かった。中で、共同規制(co-regulation)のスキームが注目されるべきである。共同規制におけるステークホルダーである行政・企業・消費者の役割を突き止めることができた。豪州の場合、それぞれの役割は、行政のモニタリングや報告義務、消費者の行動規範への参加などの具体的なものである。それぞれの制度について情報を収集し、分析した。そこで、共同規制のあり方を検討している日本にとって、参考となる点は多いことが分かった。また、内部通報者保護の制度について、国内外の資料を収集し、分析を試みた。 松本は、最近の食品関連の不祥事に注目をし、この分野における自主行動基準のあり方について、これまでの研究成果を参考にして、コンプライアンスを軸とした食品安全システムについて提案を行った。 現在、ISOでは、自主行動基準・行動規範およびADRにつき、国際的な規格を作成する作業は始まったところである。日本はISOの重要なメンバーとして、意見を求められている。本研究から得た情報は、2003年度中に国内の関連委員会で発表をされた。この情報は、日本の今後のISO対応に役立つと思われる。 今後、これまでの研究成果を整理し、欧米に続いて日本も推進しようとしている自主行動基準、および検討中の業界運用型行動規範・ADR機関のあり方とコンプライアンスを軸とした消費者法システムについて提案を行う予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] タン・ミッシェル: "企業におけるコンプライアンス専門家の役割-豪州での動向を中心に-"帝塚山法学. 第8号. 35 (2003)
-
[Publications] ビル・ディー, 監修 加茂康郎, タン・ミッシェル, 訳小柴昌也, 塩冶大輔, 市政梓: "コンプライアンス・システム、行動規範、規格を通じて得られる消費者保護の成果・二(完)"帝塚山法学. 第8号. 17 (2003)
-
[Publications] タン・ミッシェル: "オーストラリアの消費者保護制度における民間型ADR機関の役割・下"帝塚山法学. 第9号(予定). (2004)
-
[Publications] 松本恒雄: "企業の経営システムと標準化"標準化と品質管理. 56巻11号. 11 (2003)
-
[Publications] 松本, タン, 坂東, 田中, 高, 高橋: "『消費者に信頼される事業者となるために』中の「第3節オーストラリア」"株式会社商事法務(6月出版). (2004)
-
[Publications] 松本恒雄(新山陽子編): "『食品安全システムの実践現論』中の「企業のコンプライアンス・マネジメント」"昭和堂. 181 (2004)
-
[Publications] 松本恒雄: "21世紀の消費者政策と食の安全"コープ出版. 239 (2003)