2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520081
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山田 道郎 明治大学, 法学部, 教授 (20130841)
|
Keywords | 刑事裁判 / 傍聴 / 裁判官 / 検察官 / 弁護人 / 旧刑事訴訟法 / 刑事訴訟法制定過程 |
Research Abstract |
平成14年度は、研究実施計画にもとづいて、北海道、南九州、東北、そして中国・北九州の地方裁判所での刑事裁判傍聴を行なった。まず、裁判所について、「開かれた裁判所」の程度を判断する一つの指標として、当日の審理予定や法廷の場所の掲示があげられるが、詳しくわかりやすく掲示してある裁判所とまったく掲示がない裁判所があった。つぎに、裁判官の担当事件数について、これは事件発生件数や傍聴時期などにもよるのであろうが、必ずしも大都市の地裁の裁判官の担当件数が多いとは限らないようであった。全体的にみて非常に多いという印象は受けなかった。また、裁判官の審理の仕方についても、被告人への説明が丁寧で、わかりやすい裁判官もいれば、ごく機械的に審理を進める裁判官もいた。今回傍聴した北海道および東北の地裁裁判官は審理が非常に丁寧だという印象を受けた。つぎに、当事者の熱意については、概して低かった。特に検察官の不熱心さはいずれの裁判所でも目立った(これが裁判官の積極的関与の一つの原因になる)。書証の早口の要旨説明は従来から改善されていない。また、弁護人については、特に高齢の者について不勉強や準備不足がみられた。検察官による書証の提出量も相変わらず多い。これは早口の要旨説明に影響していると思われる。今回の傍聴で気づいた新たな傾向として、被告人・証人のプライバシーへの配慮である。まず、ビデオ・リンク方式による証人尋問と遮蔽装置(衝立等)の使用である。また、審理予定表から被告人名を削除する裁判所もあった。来年度以降も、より多くの情報を得るために傍聴を続ける予定である。 つぎに、旧刑事訴訟法と現行刑事訴訟法の比較であるが、これについては、旧刑訴関係の文献・および現行刑訴の制定過程に関する文献の収集を中心に行なった。その検討は、次年度以降に行なう予定である。
|