2002 Fiscal Year Annual Research Report
プエルトリコにおける急進的州権論に関する政治思想史的研究
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14520085
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志柿 光浩 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (60215960)
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Keywords | プエルトリコ / アメリカ合衆国 / 政治思想史 / ラディカルデモクラシー / 州権論 / 植民地 / ナショナリズム / 参加 |
Research Abstract |
「急進的州権論」の主張は基本的に(1)「独立国家」を形成した場合に比べて、アメリカ合衆国の一州となった場合のほうが政治的・経済的・社会な領域での民主主義が「まだマシな形で」保証される。すなわち民衆・労働者の権利を最大限に確保するというラディカル・デモクラシーの原理からみれば、「独立」よりは「州権」のほうが合理的である。(2)以上のような理解に基づくアメリカ合衆国への「併合」は、文化的な「同化」を受け入れる行為ではなく、合理的な判断に基づいた「参加」の行為である。という二つの論理から構成されている。 本年度は特に、プエルトリコ島住民およびアメリカ本土のプエルトリコ人コミュニティにおけるナショナリズムは、「被抑圧民族・地域」および「マイノリティ集団」のそれとして反帝国主義・反植民地主義性格が強い。独立主権国家としてのプエルトリコには民主的諸制度を維持・運用していく保証がないとする上記のような「屈辱的な」言説が、これらの人々のナショナリズムと折り合うことは可能か、可能だとすればどのような共通理解においてかという点に焦点を当てて文献調査を行った。 また「急進的州権論」の提唱者であるAgustin Lao-Montes博士(Department of Sociology, University of Massachusetts, Amherst、ラティーノ文化専攻)ならびにDiana Coryat氏(Global Action Project, Inc. New York異文化理解教育、映像制作専攻)を招聘し、インタビューならびに意見交換を行い、「急進的州権論」提唱の背景、言論界からの反応について伺った。
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