2004 Fiscal Year Annual Research Report
プエルトリコにおける急進的州権論に関する政治思想史的研究
Project/Area Number |
14520085
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志柿 光浩 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (60215960)
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Keywords | プエルトリコ / アメリカ合衆国 / 政治思想史 / 州権論 / ラディカル・デモクラシー / ラティーノ / ニューヨーク / 国家 |
Research Abstract |
「急進的州権論」の主張は基本的に(1)「独立国家」を形成した場合に比べて、アメリカ合衆国の一州となった場合のほうが政治的・経済的・社会な領域での民主主義が「まだマシな形で」保証される。すなわち民衆・労働者の権利を最大限に確保するというラディカル・デモクラシーの原理からみれば、「独立」よりは「州権」のほうが合理的である。(2)以上のような理解に基づくアメリカ合衆国への「併合」は、文化的な「同化」を受け入れる行為ではなく、合理的な判断に基づいた「参加」の行為である。という二つの論理から構成されている。 ここ数年の間に急進的州権論者たちは、それぞれの立場からプエルトリコとプエルトリコ人の現状について、アメリカ合衆国社会全体の文脈の中に位置づけることを試みた社会文化論を積極的に出版してきた。前年度までの研究成果を踏まえて本年度は、これらの出版物をとりあげて、その主張にみられる彼らの間での認識や方向性の違いの分析を行った。 また、プエルトリコ系住民が多く住むニューヨーク市において、プエルトリコ系住民の政治社会運動史を記録する仕事に携わってきたLatino Media Educational Center, Lilian Jimenes氏にインタビューを行った。このほか、主にプエルトリコ系住民を中心にニューヨーク市に住むラティーノ住民の文化活動を対象としたEl Museo del Barrioで資料収集を行った。
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