2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩川 伸明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70126077)
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Keywords | ロシア / ソ連 / 連邦制 / 社会主義 / 体制変動 / ペレストロイカ |
Research Abstract |
科研費の海外出張費を使って夏休みにモスクワを訪問し、ロシア国立人文大学を拠点として研究活動を行なった。具体的には、ロシア国立図書館、ロシア公共歴史図書館などにおいて資料収集を行ない、特に従来手薄だったタタルスタン共和国およびチェチェン=イングーシ共和国(後にチェチェン共和国とイングーシ共和国に分離)について、貴重な原資料を収集することができた。ソ連邦解体過程を、ソ連全体として分析するだけでなく各地球ごとの各論を踏まえつつ総合的に解明するという本研究にとって、この経験はきわめて重要な意味をもった。これ以外にも、今年度は3年計画の初年度であるので、資料収集に大きな重点をおいた。東京大学大学院法学政治学研究科の図書室はこれまでも関係文献を相対的に多数保有してはいるが、それでも対象の大きさに比して十分とはいえない状況にあったが、その欠をかなりの程度補うことができた。そして、これらの新規購入資料の検討を通して、1980年代後半ソ連の歴史状況をより深くつかむことができるようになり、本格的研究のための基礎固めができた。 このような作業と並行して、「ソ連解体」という大事件の歴史的意義を確定するための理論的検討も進めた。いくつかの角度からソ連史全体の総括の視点を探ることに努め、その一部は、論文「歴史的経験としてのソ連」『比較経済体制研究』第9号(2002年)および和田春樹編『ロシア史』(山川出版社、2002年)の中の「社会主義体制の変貌・成熟・停滞」「ペレストロイカの時代」「ロシア連邦」として公表された。また、2002年度日本政治学会大会(10月5-6日,愛媛大学)において、共通論題I「20世紀は政治学をどう変えたか」で「ソ連史(現存した社会主義の歴史)の観点から」という報告を行なった。
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Research Products
(2 results)