2003 Fiscal Year Annual Research Report
比較ジェノサイド研究-第二次世界大戦下ヨーロッパの事例から
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14520091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30212898)
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Keywords | ジェノサイド / ホロコースト / ナチズム / ユダヤ人 / 第二次世界大戦 / 過去の克服 / 戦争犯罪 / 人種主義 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、第二次世界大戦下のヨーロッパにおけるジェノサイドの比較研究のために、関係史資料を網羅的に収集・整理し、データベース化を行うと同時に、以下の4つの具体的課題に取り組んだ。 (1)ナチ・ドイツ支配下の東欧・東南欧で実行された現地住民に対する強制移住と強制労働がジェノサイドに帰着した過程を、地方ごとのイニシアティヴに着目しその具体的なメカニズムを検討した。 (2)ナチ・ジェノサイドに協力した傀儡諸勢力、現地の民兵団組織、現地住民の動機や行動様式を分析し、ジェノサイドが完遂される場合の具体的条件を分析した。 (3)総力戦体制下で行われたドイツ国内における「敵の非人間化宣伝」(殲滅プロパガンダ)に注目し、それが大衆に及ぼした効果を世論分析を通じて分析した。 (4)同時代のクロアチアにおけるセルビア人ジェノサイドなど、比較ジェノサイド研究を進めるうえで重要な事例研究に着手し、資料収集を本格化させた。 上記の研究と平行して、日本学術振興会の新事業「人文・社会科学振興のためのプロジェクト研究事業」領域II「平和構築のための知の再編」・「ジェノサイド研究の展開」(コア研究)の代表として、日本における比較ジェノサイド研究の拠点形成(http://www.cgs.c.u-tokyo.ac.jp/)に取り組んだ。平成14年12月13日に、「ジェノサイド研究の射程」を主題とする国際シンポジウムを東京大学駒場キャンパスで開催し、政治学、地域研究、国際法、歴史学の専門家との学際的な意見交換を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 石田勇治: ""過去の克服"と戦後補償裁判"法と民主主義. 384号. 34-37 (2003)
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[Publications] Yuji Ishida: "Das Massaker von Nanking and die japanische Offentlichkeit"Erinnerungskulturen, Christoph Cornelissen u. a.(Hrsg.). 233-242 (2003)