2004 Fiscal Year Annual Research Report
比較ジェノサイド研究-第二次世界大戦下ヨーロッパの事例から
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14520091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30212898)
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Keywords | ジェノサイド / ホロコースト / ナチズム / 反ユダヤ主義 / 第二次世界大戦 / 過去の克服 / 戦争犯罪 / 人種主義 |
Research Abstract |
最終年にあたる本年度は、これまでの研究の綜合に取り組んだ。そのさい、従来の研究対象を大きく広げて、第二次世界大戦下のクロアチアで生起したセルビア人虐殺とポーランド人によるユダヤ人虐殺を新たなテーマとしてとりあげ、それぞれのジェノサイドにおける行為主体の形成過程と動機、多様な要因が虐殺へと収劍していくメカニズムを解析した。また、「20世紀初のドイツによるジェノサイド」として、近年にわかに注目を集めている旧ドイツ領西南アフリカ(現ナミビア)でのヘレロ・ナマの虐殺(1904〜07年)について、先行研究を分析し史料を渉猟しながら、ジェノサイドの発生から終結までのプロセスを検証した。さらに、第一次世界大戦下トルコで生起したアルメニア人虐殺についても、先行研究を踏まえた分析を行い、この事例をトルコの国民形成と総力戦の観点から検討した。こうした成果の上に、これらの事例を第二次世界大戦下でナチ・ドイツが引き起こした多様な形態のジェノサイドと比較照合し、これらに通底する共通性、類似性およびそれぞれの特質の抉出に努めた。 上記の研究と並行して本代表者は、平成15年度に発足した人文・社会科学振興プロジェクト(日本学術振興会)のコア研究に採択された「ジェノサイド研究の展開」(CGS)の代表者として、わが国におけるジェノサイド研究の組織化と学融合的なディシプリンとしての確立をめざす活動を展開した。月例ワークショップを開催したほか、英文紀要Comparative Genocide Studiesを刊行し、ジェノサイド研究の基盤創出に取り組んだ。2004年12月4日には、CGSと協力して国際シンポジウム「平和構築と地域研究」を開催し、研究成果を発表するとともに、ジェノサイド研究の国際ネットワークの構築を視野に入れて、アメリカ合衆国のジェノサイド研究者との交流を深めた。
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Research Products
(4 results)