2005 Fiscal Year Annual Research Report
北京首都圏における政府間関係:北京直轄市と市轄区・市管県・衛星都市
Project/Area Number |
14520092
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
真水 康樹 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80242387)
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Keywords | 北京市 / 領導核心 / 両委関係 / 両票制 / 一肩桃 / 一制三化 |
Research Abstract |
「研究の目的」で示したとおり、研究の重心は、基層の研究に置かれることになった。「本年度の研究実施計画」では、北京市における1.農村における権力関係の再編、2.居民委員会の再編と社区建設の実態、3.区政府と街道弁事処の行政的関係、という3つの課題を示したが、実際の研究は、最初の課題に限定されることになった。 農村における郷鎮と村民委員会、さらに村民委員会と党支部との関係の再編は北京市のみに限定された現象ではない。そこで、北京市における権力関係の再編を分析するにあたっても、まず、全国的な視野で、モデル化と分類を行い、またそのための概念装置を検討する必要があった。農村基層の権力再編をめぐっては、「両票制」、「一制三化」、「一肩桃」の3つの現象=モデルを指摘することができる。この3つのモデルは、党政分離の程度と領導核心の範囲(党支部委員会の権限の幅)を基準として、それぞれの特徴を示すことができる。論文「村民委員会組織法体制下における『領導核心』の境位」では、こうした分類とその特徴付けを行うとともに、2002年の中共中央・国務院14号文件の登場に、村民委員会組織法以来の党政分離とは逆のベクトルの出現を見いだしている。研究ノート「北京市における農村基層精度の沿革」は、上記のモデルや概念装置をツールに、北京市の農村の権力関係の再編の分析に取り掛かる準備作業としての意味を持つ。農村の事情は個別地域で極めて異なっており、その歴史的背景の違いも重要である。同稿は残念ながら、改革開放以後の時代にまでは踏み込むことができなったが、開放以来の北京市の農村基層研究に対する重要な準備作業として位置づけられる。本年度の研究は、最初の課題に限定されたものとなったが、その範囲内において、上記の程度の進捗をみた。 なお、2006年2月初めに、北京大学政府管理学院を訪問し、都市区域管理学科長の李国平教授に対して、レヴューの機会をうることができた。幾分遅きに失した感があるが、北京市顧問であり『首都圏』(中国城市出版社、2004)の編著もある同氏から、広州、上海という2大都市圏と比べた北京首都圏の特質とその将来について、正確な情報をうることができ、本研究開始時点での研究の全体像を再検証することができた。課題研究期間終了後にも、本研究を継続発展させていくための、指針としたいと考える。
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Research Products
(2 results)