2004 Fiscal Year Annual Research Report
民族紛争に関する政治学的比較研究-その発生、激化・拡大、予防、解決-
Project/Area Number |
14520096
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
月村 太郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70163780)
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Keywords | エスニシティ / 民族 / 紛争 |
Research Abstract |
4年間にわたる研究計画の第三年目にあたる平成16年度の研究実績は、以下に纏めることができる。 1.民族紛争の事例及び理論研究による暫定的な知見 民族紛争の事例に関する考察、理論の比較分析については以下のような暫定的な知見を得た上で、更に研究を進めている。 (1)民主化の功罪について:民主制の移植可能性について議論が多々あり得るが、少なくとも民主制の移行期のみでなく定着期までのケアが必要である。移行期のみで民主制の移植完了と判断して、その後は放任することは事態を更に悪化させる危険性も高い。 (2)武装・動員解除の困難について:民族紛争の解決の前提には武装・動員解除がある。しかしそれは非常に困難な作業である。その原因としては武装解除の対象となる主たる武器が軽火器である為に取締りが困難であることに加えて、「戦時経済」が内在化しており、新たな生活の糧を与える必要性があることも指摘できる。 2.他事例の研究者との意見交換について (1)北海道大学スラブ研究センターのシンポジウム:平成16年12月の定期シンポジウムに討論者として出席し、バルカン地域、バルト地域に関する意見交換を行った。 (2)立教大学平和・コミュニティ研究機構のシンポジウム:平成17年3月のシンポジウムに報告者として出席し、内戦後のボスニアの状況、EU拡大に伴うバルカン地域の現状について報告し、EU、中東欧やアジア専門の研究者との意見交換を行った。
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