2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520104
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
金 成浩 琉球大学, 法文学部, 助教授 (60325826)
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Keywords | ソ連 / 軍事介入 / 冷戦 / 朝鮮戦争 / アフガニスタン / 外交 / 政策決定 / 危機 |
Research Abstract |
本年度は朝鮮戦争に関する資料調査および研究を重点的におこなった。2003年6月には、米国・に出張し、議会図書館などで朝鮮戦争関連の資料を収集した。とくに、旧ソ連の歴史家ボルコゴーノフ氏(故人)が発掘していたロシア連邦大統領文書館所蔵機密文書が議会図書館に所蔵されており、同氏の朝鮮戦争関連文書を複写入手した。11月には沖縄法政学会において、朝鮮戦争休戦50周年目にあわせて「『脅威認識』と『楽観論』からみた朝鮮半島危機-朝鮮戦争からの教訓」と題して、学術報告をおこなった。この報告は、現在の「朝鮮半島危機」について過去の事例であるソ連のアフガン侵攻(1979)や朝鮮戦争(1950-53)から何らかの歴史の教訓をひきだせないかという点を主眼に報告したものである。 国家の軍事介入決定はどのような要因によって影響されるのだろうか。一例であるが、ソ連が1979年にアフガニスタンに介入した事例では、ソ連がアフガニスタンに介入する際、自国の隣国アフガニスタンにおいて親米政権が成立することへの危惧、つまり、米国から「脅威を受けているという認識(脅威認識)」がその背景にあったことが判明している。また、それと同時に、数週間程度でソ連軍がアフガニスタンを鎮圧できるという、ソ連国防相の「甘い」見通しも決定を後押ししていた。つまり介入に当たっては、「脅威認識」のみならず「楽観論」も共有されていたのである。さらに、1950年6月25日の朝鮮戦争においても上述の「脅威認識」と「楽観論」の混合から戦争が勃発していた。(詳細については『沖縄法政学会会報第16号』2004年3月発行を参照)。この点を勘案すると、朝鮮半島における紛争予防のためには、こういった「楽観論」と「脅威認識」を関係諸国から取り除くという視点から外交政策が展開されることがのぞましいといえる。
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Research Products
(1 results)