2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530003
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
宇井 貴志 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (60312815)
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Keywords | 不完備情報ゲーム / ベイジアンゲーム / ポテンシャルゲーム / チーム / 情報構造 |
Research Abstract |
均衡が一意で計算可能な不完備情報ゲームのクラスとしてquadratic Bayesian potential gamesを提案し、その均衡の計算アルゴリズムを示した.1960年代にRadnerとMarschakは,組織における効率的な情報構造を研究するために,プレイヤー全員が同じ利得関数を持つような不完備情報ゲームをチームと呼び,その一般理論を構築した.一方,1990年代にModererとShapleyは,プレイヤー全員があたかも同じ利得関数を持って行動しているとみなせるようなゲームのクラスを特定し,そのクラスのゲームをポテンシャルゲームと名づけた.quadratic Bayesian potential gamesとその理論は,チームの理論とポテンシャルゲームの理論を融合させることで得られるものである.このゲームを用いることにより,プレイヤーが異なる利得関数を持つような状況において,効率的な情報構造の問題を研究することが可能となった.また,プレイヤーが異なる利得関数を持つことにより,情報の多さと効率性とが両立しない状況の分析が可能となった.応用例として,(1)情報が多い方が常に均衡がパレート劣位になるための十分条件,(2)Cremerの意味でのshared knowledgeとdiversified knowledgeの効率性の比較,(3)Morris and Shinの意味での公的情報と私的情報の効率性の比較,などの分析を行った.
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