2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530003
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Research Institution | YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宇井 貴志 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (60312815)
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Keywords | 非協力ゲーム / 非完備情報ゲーム / 不完備情報ゲーム / Choquet積分 / maxmin期待効用理論 / ナイト的不確実性 |
Research Abstract |
経済理論の研究において,ナイト的な不確実性の重要性は,広く認識されつつある.ナイト的な不確実性を分析するための意思決定理論として,Choquet積分期待効用理論や,maxmin期待効用理論などが知られている.しかし,そうした理論を前提とした不完備情報ゲームの一般的なフレームワークについての研究は,あまり行われていない. そこで,各プレイヤーがmaxmin期待効用理論に基づいて意思決定を行うような,新しいクラスの不完備情報ゲーム"incomplete information games with multiple priors"を提案した.プレイヤーのstate of natureに対する確率的な推論と,他のプレイヤーの行動に対する確率的な推論を分離し,前者にのみmaxmin期待効用理論を適用している点が特徴である.均衡の存在証明を行った上で,いくつかの例を用いて,ナイト流の不確実性と戦略的相互作用が通常のゲームと違った効果を生むことを示した. また,プレイヤーがmaxmin期待効用理論に基づいて金融資産を取引するモデルを提案し,投機的取引が行われないための必要十分条件を導出した.期待効用理論に基づく場合,プレイヤーのpriorが共通であることが必要十分条件であるが,maxmin期待効用理論に基づく場合は,prior setが共通部分をもつことが必要十分条件であることが分かった.こうした結果は,行動ファイナンスなどの分野に応用可能である.
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