2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化に伴う越境的環境汚染問題の理論的分析と東アジアへのその適用
Project/Area Number |
14530007
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多和田 眞 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10137028)
|
Keywords | 越境的環境汚染 / 戦略的貿易政策 / ハリス・トダローモデル / 途上国の環境汚染 / 交渉ゲーム / 東アジアの環境問題 |
Research Abstract |
経済発展や途上国経済の分析のためのモデルとしてしばしば用いられるハリス・トダロモデルに環境変数を組み込んで、環境汚染を伴う経済活動が自然環境や失業にどのような影響を及ぼすかを分析した。はじめに1つのベンチマークとして生産要素が労働のみの場合で分析を行い、その次に本来のハリス・トダロのモデルである固定資本が各部門に存在する経済での汚染削減技術開発や固定賃金制度、あるいは関税政策が途上国の自然環境や失業に及ぼす影響について分析した。汚染技術の改良は環境改善と失業の減少に効果的であること、工業部門の固定賃金制の強化は自然環境の改善に有効であり、汚染削減技術が低い場合には失業の減少に有効であること、工業品輸入への関税の賦課は自然環境の悪化と汚染削減技術が低い場合には失業の増加をもたらすことが明らかとなった。また以上の分析を資本が部門間で移動可能な場合に拡張して行った。 中国を中心とする東アジアの環境問題に日本がどのような戦略的対応を行っていくべきかを考察するため、途上国の環境問題に対応するための先進国からの技術移転戦略について分析し、技術移転が行われる状況について分析した。さらに国家間での汚染発生削減のための国家間交渉戦略についての分析をおこない、削減についいて国家間での合意が得られる条件について分析を行った。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Eriko Hiraiwa, Makoto Tawada: "A Further Analysis on the Welfare Effects of Illegal Immigration"Journal of Economic Integration. 18(2). 420-432 (2003)
-
[Publications] Azusa Itoh, Makoto Tawada: "Environment, trade and the welfare gains from the transfer of pollution abatement technology"Papers in Regional Science. 82(4). 519-534 (2003)
-
[Publications] 多和田 眞: "越境汚染と国際貿易"リスク、環境および経済(池田・酒井・多和田編). (発表予定). 95-106 (2004)
-
[Publications] 伊藤あずさ, 多和田 眞: "国際貿易でのハリス=トダロ・モデルによる途上国の環境汚染と失業の分析-固定資本の場合-"国際地域経済研究. (発表予定). 13 (2004)
-
[Publications] 池田三郎, 酒井康弘, 多和田眞 編著: "リスク、環境および経済"勁草書房. 234 (2004)