2005 Fiscal Year Annual Research Report
市場移行諸国におけるコーポレート・ガバナンスシステムの変動と国際比較研究
Project/Area Number |
14530008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
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Keywords | 合併と買収(M&A) / 経路依存症 / コーポレイト・ガバナンス / ステークホルダー / EU東方拡大 / 民営化 / rent-seeking / インフォーマル制度 |
Research Abstract |
市場移行諸国とりわけロシアにおけるコーポレート・ガバナンスの変動を明らかにするうえで、本年度は第1に、これまでの研究成果を取りまとめるとともに、今後の研究基盤を整備する作業を重視した。4月にフランス高等社会科学院EHESS、7月にベルリンでの国際中東欧研究会議第7回世界大会、8月にロシアハバロフスク経済研究所で報告し、移行後のコーポレート・ガバナンスには経路依存性が強く検出され、それが国際的に独自性をつくりだしていることを実証的に明らかにした。同時に、10月以降移行期企業研究ワークショップを主宰し、2006年3月ロシア・中国・アメリカ研究者との横断的な国際セミナーを組織し(報告し)、ガバナンス研究の国際共同研究の基盤を作った。本研究は最先端の制度研究として、京都大学21世紀COE研究プログラムの一環に位置づけられている。第2に、移行諸国間、とりわけヨーロッパでのコーポレート・ガバナンスとの国際比較のために、EU東方拡大の企業組織に及ぼす影響を検討し、11月および2006年2月の国際会議で報告、意見交換を行った。とくに、11月京都大学での国際会議The Wider Europe : Institutions and Transformationでは「ロシアのコーポレート改革へのEUのインパクト」を報告し、ヨーロッパ化の浸透がロシアを含め、移行諸国全体に見られること、それが東欧では制度構築のアンカーになったことを明らかにした。第3に、 コーポレート・ガバナンスの最新事情を明らかにするために、10-11月にロシアにおいて企業の合併と買収(M&A)の動態を現地調査し、グローバル化とともに、国家介入、ロシア独自の企業行動が存することを証明した。本研究全体を通して、移行諸国における経営文化、人的資本形成のあり方がコーポレート・ガバナンスの独自性に作用していることを教訓として引き出している。
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Research Products
(9 results)