2003 Fiscal Year Annual Research Report
情報化と組織の分権化により企業の生産性は上昇したか
Project/Area Number |
14530028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗山 規矩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50004205)
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Keywords | 情報化 / 企業の市場価値 / 組織の分権化 |
Research Abstract |
1.上場一部と上場二部の企業の中から無作為抽出した2000社に対してアンケート調査(2003年2月)を行い、回答のあった190社の企業について、企業の情報化の進展度、人的資本、組織の分権化に関する調査の集計を行なった。この結果を3年前に行なったアンケート集計結果と比較すると、(1)情報化戦略の位置付けが経営戦略に向けられていることがより明確になっている。(2)ネットワークにより情報を社内で共用して利用する傾向が確実に進行している。(3)電子商取引を利用している企業が多くなっている。(4)CIO(Chief Information Officer:情報システム担当総括役員)を設置している企業が多くなっている。(5)目標管理制度を受けている従業員の割合、自律的ワークチームで働いている従業員の割合はやや低下しているのに対し、組織横断的なプロジェクトチームに参加している従業員の割合が増加している。(6)仕事のペースについての意思決定は従業員が行なう割合が増加している。(7)課長が掌握する部下の数は非製造業では増加しているが、製造業では減少している等の変化が認められた。 2.アンケート調査データと企業別経営データを組み合わせて、情報技術が企業の生産性を向上させ、さらに企業の市場価値を上昇させているか否かを、企業の市場価値を非説明変数とし、資本ストック、土地ストック、その他資産、在庫、研究開発ストック、広告ストックと情報化進展指標、人的資本指標、企業組織総合指標を説明変数として分析した。その結果、(1)情報技術の導入は企業の市場価値を上昇させる。製造業におけるこの効果は非製造業の効果の2倍に達する。(2)製造業では情報化の進展が質の高い人的資本と結合すると企業の市場価値を高める。(3)情報技術は非分権的(集権的)組織で用いられるときに企業の市場価値を高める。日本の情報化と企業組織との関係は、米国における両者の関係とは異なることが明らかとなった。
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