2003 Fiscal Year Annual Research Report
データ包絡分析と指数アプローチによる動学的全要素生産性の計測法の開発と応用
Project/Area Number |
14530030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
根本 二郎 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (20180705)
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Keywords | 全要素生産性 / 生産性分析 / 効率性分析 / 動学的生産性 / 動学的効率性 |
Research Abstract |
本研究は、伝統的な全要素生産性(TFP)の計測法を、二つの点で拡張することが目的であった。第一は生産が完全に効率的に行われるという前提を取り除き、技術非効率が生産性に及ぼす影響を計測できるようにすることである。第二は、すべての生産要素が即時的に調整されるという仮定を排し、調整費用を伴う準固定要素を導入して動学的生産性および動学的効率性を計測することである。第一番目の点については、Hicks-Moorsteen指数によるTFPの計測とその要因分解分析を提案し、生産性変化率が技術進歩率と規模の経済性要因のみならず、効率性要因にも依存する形での分折を可能とした。このHicks-Moorsteen指数に基づくTFP変化率の要因分解分析は、OECD17カ国のマクロデータに適用してその実証的有用性を確認した。その際、要因分解分析に必要なインブットおよびアウトプット距離関数値を得るため、新たな工夫をパラメトリック・アプローチで行う場合について考案した。また、非パラメトリック・アプローチ(データ包絡分析を利用する場合)にも利用可能な、規模弾性値の合理的な推定方法を示した。第二に、データ包絡分析を動学化することにより、動学的生産性と動学的効率性の計測を可能にする方法を開発した。この方法は標準的な投資理論との親和性が高く、投資のオイラー方程式やトービンのqを計測できることが特徴である。応用として、わが国電気事業の送配電部門を対象にした実証研究を行い、従来の静学的な方法によりしばしば電気事業において見出される配分非効率は、その大部分が動学的非効率に由来することを明らかにした。
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