2003 Fiscal Year Annual Research Report
通貨統合下の「国民経済化」とEU企業の産業再配置についての研究
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14530041
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 均 山形大学, 人文学部, 教授 (10141269)
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Keywords | EU / EUの東方拡大 / 中東欧諸国 / 経済通貨同盟 / 市場統合 / ネットワーク型生産 / eEurope / IT革命 |
Research Abstract |
21世紀に入り、EU経済に大きな構造変化をもたらしている。2002年以降に単一通貨ユーロが一般流通に導入され、経済通貨同盟が完成し、EU市場での価格の透明性が確保されたことで、1993年の市場統合による広域市場が真の意味で達成されている。また、2004年5月には、EUの中東欧10カ国への拡大が達成されることでEU市場が一層拡大する。折からのIT革命もあって、EU企業は、EU地域のみならず、中東欧地域にわたり、広汎な市場を前提に、物流の再編や工場の再編成を追求しており、これに伴う形で「大欧州」でのネットワーク型生産を展開している。こうした広汎な大市場を前に、中東欧を生産基地としたネットワーク型生産は、EU企業にとどまらず、アメリカおよび日本、その他諸国の多国籍企業にも同様に展開しているのである。 EU経済の構造変化を踏まえて、第1に、2002年度の中東欧調査、実施できなかったが2003年度調査の準備過程で感触を得た、直接投資と輸出を通じたEU地域と中東欧地域のネットワーク型生産の実態を実証分析することが次年度の課題である。第2に、EUのIT革命は、2000年3月のリスボン理事会、eEuropeアクションプランによって開始され、現在は対中東諸国のITの適応を規定したeEurope2003+、eEurope2005アクションプランの策定と拡充して進展している。産業企業、EU社会のネットワーク化の基礎的分析として発表した「EUのIT革命」(2002年、日本EU学会年報)をフォローして、より広い視点からの分析を次年度に準備する予定である。
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