2003 Fiscal Year Annual Research Report
医療政策とマクロ医療経済システム:ミクロ経済学的アプローチ
Project/Area Number |
14530042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 直志 筑波大学, 社会工学系, 教授 (10210460)
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Keywords | 医療経済学 / 超過労働 / 被雇用者の健康 / 生命保険 / モラル・ハザード / 米国の子供の健康 / 医療サービス利用の簡便性 / 医療保険 |
Research Abstract |
研究課題の一環として「日本の被雇用者の超過労働と健康に関しての考察」、「Life Insurance and Health」、「Healthcare Services Accessibility of Children in the USA」について今年度は研究を行った。これらの成果を(財)統計研究会主催の東西カンファレンス(京都)、日本経済学会(東京)、国際医療経済学(サンフランシスコ)の会議にて発表した。 特に、超過労働と健康の分析では、東京大学社会科学研究所付属日本社会研究情報センター、SSJデータ・アーカイブより提供された、1998年の『家族についての全国調査』(日本家族社会学会全国家族調査研究会)のデータを使い、景気低迷期における被雇用者の労働日数と健康との関係について理論的かつ実証的に明らかにすることを試みた。分析結果から、過重な労働(つまり、超過労働)は被雇用者の健康を悪化させ、そのことがさらに労働日数を減少させるという連鎖関係にあるということを明らかにした。また、所定外労働や不払い残業などの超過労働を改善するためには、超過労働が被雇用者の昇進を促すという従来の昇進基準を見直すことが必要であるという知見を得た。 米国における医療サービス利用の簡便性について、医療保険の無い家計の子供の数が米国では急増しており、子供間での健康の違いが大きな問題となっている。そこで、Community Tracking Study Household Survey 1996-1997を使い、医療サービス利用への簡便性や機会費用の違いがどのように米国の子供の医療サービスの利用に影響を与えているのかを分析した。実証結果から、家計における医療保険の有無、親の教育、医療サービスの金銭・非金銭的費用などが子供間での健康の違いに大きな影響を与えていることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tetsuji Yamada, Tadashi Yamada, Chia-Ching Chen: "Healthcare Services Accessibility of Children in the USA"University of Tsukuba, Institute of Policy and Planning Sciences, Discussion Paper Series. No.1052. 1-19 (2003)
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[Publications] 山田直志, 山田哲司, 曾衛紅, 陳佳青: "日本の内部労働市場:被雇用者の超過労働と健康"University of Tsukuba, Institute of Policy and Planning Sciences, Discussion Paper Series. No.1077. 1-35 (2004)
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[Publications] Tadashi Yamada, Tetsuji Yamada: ""The Demand for Health Check-ups under Uncertainty" Labor Markets and Firm Benefit Policies in Japan and the United States"National Bureau of Economic Research. 400 (2003)
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[Publications] 山田直志, 山田哲司, 曾衛紅, 陳佳青: "日本の被雇用者の超過労働と健康に関しての考察、『経済構造の変化と労働市場』報告書"財団法人統計研究会. 220 (2004)