2002 Fiscal Year Annual Research Report
中東・イスラム地域における経済開発とイスラム原理主義
Project/Area Number |
14530048
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岩崎 徹也 信州大学, 経済学部, 教授 (10262677)
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Keywords | 経済開発 / 人口問題 / 雇用問題 / イスラム原理主義 / 石油 / 中東 / 産油国 / OPEC |
Research Abstract |
中東・イスラム地域におけるイスラム原理主義の台頭の背景として、過剰人口問題、とりわけ、青年層の雇用問題を重要な要因としてあげることができる。 雇用機会の不十分さは経済開発の低迷によるものである。1970年代の石油ブーム期に中東産油国はいわゆるオイルマネーを経済開発につぎ込み、急速な発展が可能であるかに見えた。産油国の発展は、商品・労働力輸出や援助によって周辺非産油国の経済をも拡大する役割を果たした。だが、石油価格の高騰は、石油消費の抑制や非OPEC地域における石油開発を促進し、OPEC産油国の大幅減産・シェア低下をもたらし、最終的には石油価格の大幅低下をもたらすことになった。 経済開発の原資である石油収入の大幅減少により、産油国は長期不況に陥り、これは周辺非産油国の経済不況をももたらした。一方、石油ブーム期以降、医療機関の整備などにより人口増加は続いており、結果として、青年層を中心に雇用問題が顕在化することとなった。アラブ民族主義や社会主義の破綻により、青年層の不満はイスラム原理主義へと向かうこととなる。 もともと低開発なうえに、戦乱の続いたアフガニスタンでは、タリバンによる支配が続いていたが、9.11同時多発テロの報復として、米英による攻撃が行われ、新政権が樹立された。現在、米英はイラクにおいても同様の計画をもっているようだ。だが、両国とも、もともと、国家統合そのものが難しく、それゆえに強権的な支配体制が維持されていたという面を軽視してはならない。外国勢力による国家統合の維持、経済開発の促進は容易でなかろう。
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Research Products
(1 results)