2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本経済の長期不況とアジア経済の相互依存特性に関する数量分析的研究
Project/Area Number |
14530054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市橋 勝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10223108)
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Keywords | 長期不況 / マクロ集計量 / EU / ASEAN / 数量分析 |
Research Abstract |
本年は、日本の長期不況の原因を、日経NEEDSデータを中心に数量分析することに重点が置かれた。また、先進国における同様の長期不況との比較のために、EU及びドイツを取り上げ、集中的に資料収集も行い、更に、アジアの景気動向との比較のためにASEANのマクロデータを中心に、その概況を分析してきた。 マクロ集計量データは、各経済活動別と需要項目別、更に、付加価値項目別によって、三面等価の各局面の寄与度分析が可能で、簡易に成長貢献度を把握できるので、その方法を多用した。その結果、経済活動別にはサービス及び電機が、この10年間で貢献の大きい産業であることが分かった。但し、生産性の水準では、サービスは低く、電機など製造業が突出する結果となった。付加価値では、営業余剰の貢献度が低くなっていること、需要では投資需要の落ち込みが大きいことなどが把握できた。 EUにおいては、EU全体の成長へのドイツの貢献度は2000年前後にはそれほど大きくなく、ドイツ自身の構造的不況は、それほどEU全体に大きな影響を与えているとは言えないことが分かった。ASEANでは、マレーシア、タイの寄与が大きい結果となった。 現在、これらのマクロデータを用いたシミュレーション用計量モデルの作成と、パネル分析用のデータ整理を引き続いて行っているところであり、これらの簡易モデルによって、統計的な分析を更に深める予定である。方法論的には、当初予定していたPS-GMM法よりも、ダミー変数による構造変化吸収による方法のほうが、簡便であるので、それによる分析を中心に行っている。また、集計量データの不突合の誤差性に関する簡単な検定方法も考案した。
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