2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14530070
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川野辺 裕幸 東海大学, 政治経済学部, 教授 (60119667)
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Keywords | 規制緩和 / 制度調製 / グローバリゼーション / 制度間競争 / 行政改革 / 財政の地域間再分配機能 |
Research Abstract |
急成長を実現した東アジア諸国は、戦後日本の高度成長をひとつの手本としたものの、その制度設計は固有の条件を前提としてさまざまバリエーションを持っているが、市場指向型の制度改革を遂げつつある点では同様である。特に、近年の急速なグローバリゼーションは東アジア各国間および諸都市間の競争を激化させ、それにともなう人口の規模および構成の劇的変化、急激な社会変動にもさらされている。継続研究2年目の本年度は、昨年度に引き続いて急激な変化に見舞われている東アジア工業諸国における経済制度の特徴と制度改革の様態について現地調査および文献調査を行った。 台湾省・台北市,新竹市への現地調査では、中国沿岸地域への工業進出に伴って、大陸との相互依存関係が高まる中で、地域内に残る産業分野、生産工程の模索の状況を調査した。かつて大陸における加工製造業の製品および原料の輸出入基地としての役割を果たしていた香港経済が空洞化して来たのとは違う理由による空洞化が生じている。 中華人民共和国・上海市への現地調査では、外資系企業の集積が経済発展の原動力となっていることから、日系企業数社への訪問と、現地の上海国際間題研究所への訪問によって、WTO加盟後の中国の経済状況と国内制度改革の問題点について意見交換を行い、今後の改革手順とスケジュール等について新たな知見を得た。 また、わが国の制度改革については、戦後財政が果たした地域間再分配の役割がグローバリゼーション下の状況に対応して改革できず、異時点間再分配を生じていることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)