Research Abstract |
今回調査・研究を行った,三遠南信地方の3カ所の日帰り型温泉施設は,愛知県や静岡県の都市部から日帰りで余暇を楽しむことのできる位置にある.これらの施設において,2002年10月から2003年12月まで,原則として毎月平日と休日の1日ずつ,開館時刻から17時まで1時間おきに,それらの施設への来訪車のナンバーを計測した.計測は3カ所合計で,81日間行われた.そのデータから計測時刻間隔の1時間の間に来訪した車の滞在時間分布を作るためには,計測にかからなかった来訪車台数の補正,滞在時間の補正を行わなければならない.その際,来訪した車が駐車場から出て行く過程を確率過程(純消滅過程)としてとらえ,滞在時間を表すために適当な関数を推定し,計測にかからなかった台数を補正すると共に,平均滞在時間を求めた. 消滅率が時間のべき乗に比例すると仮定すると,滞在時間分布はワイブル分布になる.延べ数日間にわたる予備的な計測で得たデータの解析から,滞在時間分布は,消滅率が時間の0.5乗に比例する場合から1乗に比例する場合の間がよいことが推測されていた.しかし,今回は81日間にも及ぶデータが得られたので,実測値で,滞在時間が1時間未満の場合から,数時間に渡る場合まで,様々なケースのデータが得られた.実際に今回のデータを解析すると,0.5乗の場合は来訪車の滞在時間が短いとき,t=0における平均来訪車台数の補正値が大きくなり過ぎてしまい,消滅率が時間の1乗に比例する場合の方がデータ解析に適している事が分かった. 補正した来訪車の滞在時間分布から,平均来訪車台数と平均滞在時間を求め,それらの時間依存性,季節依存性を求め,3カ所の施設の特性を分析した.平均来訪車台数の補正値は実測値よりも1割前後大きくなる.この点を除くと,実測値から,各施設へのナンバー別平均来訪車台数の季節変動,時間変動なども求めることがでる.これらのデータを用いても,各施設の特性を分析した.
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