2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域経済圏の形成と消費課税の調和プログラムに関する研究
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14530081
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 盤男 九州産業大学, 経済学部, 教授 (30131733)
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Keywords | アジア地域経済圏 / 管轄間取引課税の調和 / VAT / CVAT / VIVAT / 二重VAT / 財政赤字 / 財政透明性 |
Research Abstract |
本年度の研究実施により以下のことを明らかにできた。 1.多管轄での管轄間取引きへの課税調整を必要とするVAT制度に関して、次の3つが主要な提案である。CVATは、Ricardo Varsanoがブラジルの経験から連邦-州の二重VATにおけるゼロ税率の州際輸出なしに仕向地原則によるVAT実施を可能として提案し、その後Charles E. McLureが修正した。VIVATは、Micheal Keen and Stephen SmithがEU加盟国間取引きへの国境管理なしのVAT形態として提案した。二重VATは、Richard M. Bird and Pierre-Pascal Gendronが連邦制度での国と下位政府との独立二段階VATとして、カナダの経験に基づき提案した。アジア地域経済圏で実施可能な多段階VATのデザインには、CVAT、VIVATと二重VATに関して、管轄間取引きへの国境管理なしの仕向地原則によるVATの実施を可能とする条件の検証と考究が必要である。 2.インドネシアでは、経済危機後、財政赤字と財政制度の脆弱性が重大な問題である。IMFは、東アジア危機を主な契機として、財政透明性に関するコードとマニュアルを作成し、40数カ国で国別評価を実施した。OECDも、予算透明性に関する実務コードを公表した。財政透明性は、財政赤字の削減、すなわち財政の健全性や効率性とは区別されなければならないが、財政経営を改善する重要な構成要素として健全性や効率性と密接に関連している。 3.インドのBJP連立政権は、財政赤字削減の困難さの認識を深め、支出改革委員会の設置による政府のダウンサイジングと財政責任・予算経営法案による法的規制とを財政赤字削減の主要な方策としている。IMFはインドの財政透明性の実務評価を実施し、インド準備銀行の財政透明性に関する諮問グループも報告を提出した。これらの報告は、財政責任・予算経営法案を重視している。しかし、この法案はなお国会審議中で、その財政赤字削減への有効性が限定的であり、公共支出改革が不可欠である。
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Research Products
(1 results)