2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域経済圏の形成と消費課税の調和プログラムに関する研究
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14530081
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 盤男 九州産業大学, 経済学部, 教授 (30131733)
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Keywords | アジア地域経済圏 / VAT / 管轄間税調整 / PVAT(前納VAT) / 税務行政 / 財政赤字 / 地方分権化 / 政府間財政調整制度 |
Research Abstract |
本年度の研究実施により、以下のことを明らかにすることができた。 1.VAT制度において管轄間取引きへの境界管理なしに仕向地原則を適用可能とする税調整方式に関して、これまでの研究では、CVAT(ブラジルのRicardo Varsanoの提案、Charles McLureの修正)、VIVAT(Micheal KeenとStephen Smithの提案)と二重VAT(Richard BirdとPierre-Pascal Gendronの提案)を比較検討した。しかし、カナダとインドでの調査と収集資料の分析により、力ナダのSatya PoddarとEric Huttonが提案するPVAT(前納VAT)が注目すべき方式であり、アジアの地域経済統合体制で運用可能な税調整方式としては、PVATが最適との結論が得られた。 2.管轄間税調整方式の問題に関連して、近年の急速な電子商取引き(e-commerce)の急増により、管轄間サービス取引き課税とインターネットによるデジタルコンテンツの課税など新たな課題が生じていることも明らかになった。 3.インドでは、中央VAT(CENVAT)と二重VAT制度を構成する州VATが2003年4月実施予定であったが、なお実施されていない。この遅れの原因として、(1)州政府レベルでの税務行政の整備の遅れと(2)2004年4月実施予定の総選挙という政治的要因が指摘できる。 4.インドネシアでの財政改革は、2004年に総選挙が実施予定のため進展が見られない状況である。中央集権国家であったインドネシアでは、1999年新法により2001年からBig Bang型の地方分権化が実施されて2年が経過し、注目すべき研究成果が公表され始めた。全般的に円滑な実施が評価されているが、主要な問題は、(1)政府間の機能配分、(2)地方政府の行政能力、(3)政府間財政調整制度と(4)地方政府の説明責任に関係しており、地方税制では、土地・建物税の改革が主要な課題である。
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Research Products
(1 results)