2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域経済圏の形成と消費課税の調和プログラムに関する研究
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14530081
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 盤男 九州産業大学, 経済学部, 教授 (30131733)
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Keywords | アジア地域経済圏 / 財政赤字 / 経済改革 / 二重VAT / 州VAT / 経済構造転換 / 地方分権化 / 政府間財政調整制度 |
Research Abstract |
本年度の研究実施により、以下のことを明らかすることができた。 1 アジア地域でのBRICsとして中国とともに注目を集めているインドでは2004年の総選挙の結果、BJP主導のNDA政権に替わり国民会議派主導のUPA政権が成立した。UPA政権による8%経済成長目標の設定を契機に、1990年代の経済改革の成果を巡りインド国内外の研究者間で論争が展開された。論争は、1991年経済危機後の90年代の経済改革の成果を重視する通説的見解と80年代の経済改革を重視する批判論の対立であり、前者の91年危機の重視と後者の軽視ないし無視が評価の分岐点であった。論争の経済政策的意義として、中国の急速な経済成長を底流とするインドでの工業部門がGDPの4分の1という経済構造の転換の遅れに関する共通認識と90年代の主要な改革課題であった財政赤字問題が現在もなお重要な政策課題であることを明らかにした。 2 インドでは、UPA政権により財政赤字削減策である2003年財政責任・予算経営法による削減目標年度が2007-08年度から2008-09年度に遅らされた。赤字削減のための増収策として期待される消費課税改革では、中央のCENVATと二重VAT制度を構成する州売上税の州VATへの移行が遅れていたが、2005年4月1日に29州中21州で導入された。連邦国家ではカナダとブラジル以外にない州VAT導入による二重VAT制度への税制改革の内容と過程を明らかにできた。そして、CENVATと州VATは財のみを課税ベースとしており、GDPの半分を占めるサービスには中央のサービス税のみが賦課されているため、州際取引課税問題を含む包括的二重VAT制度の構築が課題であると指摘した。 3 インドネシアでは、2004年の直接選挙の結果、S.B.ユドヨノが大統領に就任した。経済状況は全般的には順調であるが、大統領選挙という政治的要因により財政・税制改革と地方分権化で注目すべき展開は見られなかった。
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Research Products
(2 results)