2003 Fiscal Year Annual Research Report
世界石油産業の現段階-「スーパー・メジャーズ」の形成とその歴史的意義について
Project/Area Number |
14530085
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
伊藤 孝 埼玉大学, 経済学部, 教授 (00151514)
|
Keywords | スーパー・メジャーズ / 国際石油資本 / エクソンモービル / BP / 世界石油産業 / 企業合同 / 原油生産事業 / 相互補完 |
Research Abstract |
本年度は,世界石油産業界の主導企業エクソン社(1999年末以降はエクソンモービル社)の活動を,前半期に1920年代初頭から1960年代末まで,後半期には1990年代について,それぞれ検討した。 前者については,これまでの研究と合体し,2004年2月に公刊した著書『ニュージャージー・スタンダード石油会社の史的研究-1920年代初頭から60年代末まで』(北海道大学図書刊行会,全体486頁)にその成果を結実させた。本書では,第1に,1970年代初頭以降のエクソン社(1972年まで社名はニュージャージー・スタンダード石油)によるヴェネズエラ,中東・北アフリカでの原油と油田の支配権の喪失について,これを招来せしめた要因のひとつが同社の1960年代末までの投資行動それ自体に胚胎されたこと,第2に,1970年代初頭ないし前半以降になされた同社による事業規模の量的拡張路線からの転換について,1960年代における西ヨーロッパ,日本などアメリカ以外の主要製品市場での低収益,欠損がその歴史的要因になったこと,などを明らかにした。 本年度後半期の1990年代についての研究では,エクソン社の原油と天然ガスの生産事業(Upstream)について分析した。同社によるモービル社の買収は,原油と天然ガスの発見費用の削減に大きな成果をもたらした。エクソン社の1999年の発見費用は年平均で1バレルあたり(天然ガスについては石油に換算)1.2ドルであったが,買収後の2000年には65セントへほぼ半減し,その後も低下をたどった。この要因のひとつは,エクソン社が鉱区の選択的な活用,つまりモービル社の買収により鉱区全体が一挙に拡大したことを踏まえ,より優良な地域での探索に活動を重点化させたことに求められるであろう。 なお、本年度も昨年に引き続きアメリカの国立公文書館において資料(主として国務省所管文書)の収集を行った。
|
Research Products
(1 results)