2004 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦後の国際通貨・金融システムと国際決済銀行
Project/Area Number |
14530097
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢後 和彦 東京都立大学, 経済学部, 教授 (30242134)
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Keywords | 国際決済銀行 / 国際銀行業 / ユーロ・カレンシー市場 / 中央銀行間協力 / フランス銀行 / 日本銀行 / 金融規制 / 変動相場制 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の研究期間(平成14年度〜16年度)の最終年度にあたり、これまでの研究蓄積の展開と総合に取り組んだ。その概要は、以下の通りである。 (1)これまで蒐集した資料をもとに、研究報告書の最終稿を確定した。とりわけ国際決済銀行における「商業銀行機能」と「理論・政策調整の機能」の関係を整理し、同行の「営業局」(Banking Department)と「金融経済局」(Monetary and Economic Department)との組織間競争という視点を押し出した。 (2)従来とりまとめてきた本研究上の論点について、経済思想史上の位置づけを明確にした。この研究をつうじて、国際決済銀行の設立と展開には、ふたつの潮流-国際連盟をひとつの拠点とする理想主義的な流れと、ヴィクセルを源流とする貨幣的均衡重視の流れ-が交錯していたことがあきらかになった。このうち前者の潮流について、英文論文"The Origins of BIS : Utopianism of Central Bank Cooperation"を執筆し、学内の研究会にて報告した。 (3)国際決済銀行と各国中央銀行との関係を検討するなかで、いわば研究の系論として、金融政策の前提となる通貨供給量の測定の問題が生じてきた。この点について、さしあたり資料が入手できたフランスの事例をもとに、通貨供給量を確定するこころみをおこなった。この成果を仏語の論文"Masse monetaire en France"にまとめて、学会誌に投稿した。 (4)国際決済銀行と日本銀行との関係について、あらたに日本のG10加盟にかかわる資料を獲得し、国際通貨外交との接点を解明した。 (5)標記の主題にかかわりの深い文献2点につき、学会誌に書評を発表した。
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Research Products
(2 results)