2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本における高額所得階層の変動メカニズムに関する実証研究
Project/Area Number |
14530100
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
谷沢 弘毅 札幌学院大学, 経済学部, 教授 (90326520)
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Keywords | 高額所得者 / 資産保全会社 / 所得分布 / 第三種所得税 / 専門経営者 / 社会移動 / 所得稼得行動 / 資産保全行動 |
Research Abstract |
本年度は当研究の2年目であり、前年度に引き続き戦前期の高額所得者に関するデータの入力作業を実施した。すなわち1911年、1925年、1930年、1936年の各年次における上位5000人の高額所得者について、氏名、住所、掲載頁、掲載段数職業名(または会社名)、議員フラグ、華族フラグ、第三種所得税等を入力した。そしてこの入力済み第三種所得税額から、当時の税率を勘案しつつ第三種所得額を推計したほか、職業名から職業分類を確定する作業をおこなった。なおこのデータ入力作業は、本年度で概ね8割方、完了したと考えられるが、『日本紳士録』において各人の職業が所属組織名で記載されている場合があるため、このような場合には適切な職業に分類することが困難であるなど、データの信頼性に関して問題となることがあった。このような事例では、できるだけ他の資料(例えば、『会社年鑑』等)によって情報を補足しているが、小規模事業所等の場合にはかならずしも十分な情報が入手できるとはかぎらない。 さらに戦前期の高額所得者や社会階層を取り巻く制度・社会慣習等、高額所得者の所得稼得行動等に影響を与えた情報を、各種論文等より蒐集した。全般的にみると、年次の早いデータほど関連する情報を入手することが困難であるが、この点については次年度にも引き続き情報蒐集に勤めるつもりである。また上位5000人内に入った高額所得者に関する家族の情報あるいは大手企業の役職者の情報も、あわせて入手しなければならないことが判明したため、この点も今後どの程度まで対象世帯を確保するかを検討しつつある。 以上
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