2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530102
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
小島 健 立正大学, 経済学部, 教授 (00211897)
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Keywords | ベネルクス / 経済統合 / ヨーロッパ統合 / ベルギー:オランダ:ルクセンブルク |
Research Abstract |
本年度は,まず、1948年1月に発足したベネルクス関税同盟が具体的にどのように機能しまたどのような困難に直面したかについて、戦後ヨーロッパ経済との関係を視野に入れながら研究を行った。戦後の西ヨーロッパにあってベルギーとルクセンブルクはきわめて順調に復興したが、ネーデルラント(オランダ)は極めて困難な経済状況にあった。 このため1949年からの予備同盟は機能せず経済的障壁は高いままであった。しかし、1950年代に入るとベネルクスの内と外の状況が大きく変化してくる。まず、ネーデルラント経済がようやく回復し,三国間の経済格差が縮小した。また、本格的な欧州統合がフランス主導のもとで開始された。すなわち、1950年5月にフランス外相シューマンが提案した欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)である。ECSCにはフランス、ドイツ、イタリアとベネルクス3国が加盟した。 1950年代にECSCは石炭業と鉄鋼業の共同市場において大きな成果をあげ、さらに同じ加盟国によってより広範な経済統合体である欧州経済共同体(EEC)が1957年調印のローマ条約によって設立された。ローマ条約の準備段階においてベネルクス3国は緊密に協力した。また、1950年代半ばまでに3国間の経済的な障壁も税制や農業分野を除いてほぼ消滅させることができた。こうして、1958年に調印されたベネルクス経済同盟はEECの内容を先取りするモデルとして、またEEC内における小国の発言力を確保する機関として歴史的意義を持ったのである。
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