2004 Fiscal Year Annual Research Report
革新主義期アメリカにおける安全運動と人事管理との関連に関する経営史的研究
Project/Area Number |
14530103
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
上野 継義 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00183749)
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Keywords | 安全運動 / 人事管理 / 人間工学 / 雇用管理 / 労使関係管理 / 環境経営史 / 革新主義期 / 環境史 |
Research Abstract |
本年度は,以下の2つの検討課題に沿って調査研究をおこない,1については学術論文にまとめた。研究成果の公表は,別紙の理由で,いましばらく時間を要する。 1.人事管理成立史の再検討 米国の人事管理運動について,その担い手の言説分析を通じて,この運動の特徴を明らかにしようとした。この管理運動の指導者たちは「人間工学」という言葉を使って労働者の処遇改善を訴えた。19世紀以来驚異的な発展をとげた近代技術はもっぱらモノをあつかう術であって,ヒトを取りあつかう術はそれに見合う形では発展してこなかった,こうした問題意識がその言葉に表現されていたのである。ところが第一次大戦の休戦とともに,工学的なメタファの人気は一気に萎んでしまう。かくも転変著しい人間工学に対する意識変化は一体何に起因するのか。その原因を探求するかたちで人事管理の専門職業化のプロセスを再構成し,管理運動の指導者によって提示された改革理念について,その特質と歴史的帰結を明らかにした。この研究は,「人間工学の専門家による『野心的な社会実験』--革新主義期の労務改革の理念とその帰結--」というタイトルの論文にまとめた。 2.安全運動の研究史的位置づけ 安全運動史を環境史とのかかわりの中で捉える作業を継続している。近年進展の著しい環境史と技術史との交流について検討し,とくに労働災害問題に分析の焦点が当てられるようになった事情を調査している。これの成果は論文にまとめ,アメリカ学会の記念事業『学際講座アメリカ』(平成18年出版予定)の一章として寄稿する予定である。 論文「人間工学の専門家による『野心的な社会実験』--革新主義期の労務改革の理念とその帰結--」の公表を見合わせている。以下,その理由と期間について説明する。 本論文の初期草稿は,アメリカ学会第36回年次大会・部会D「革新主義(時代)再考」(平成14年6月2日,明治大学駿河台キャンパス)で報告した。その後,ここで得られたコメントを参考にして推敲を重ね,目下,レフリー付きの学術雑誌への投稿準備中である。 レフリーの査読を得て,最終的に公表されるのは本年(平成17年)秋になると予想される。
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