2002 Fiscal Year Annual Research Report
金融サービスの利用者の視点から見た金融システムのパフォーマンスに関する実証的研究
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14530108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家森 信善 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80220515)
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Keywords | 住宅金融 / 金融システム / 銀行 / 金融サービス / 中小企業貸出 / 保険 / ペイオフ / 預金者保護 |
Research Abstract |
「ビッグバンの進展と民間住宅金融の展開」(『(財団法人・住宅金融協会)住宅問題研究』18(2)、2002)では、金融自由化が住宅金融市場にどのような影響を与えたかを分析した。まず、住宅金融市場の自由化の経緯について詳細な分析を行い、その後、住宅金融市場の実証分析を行った。その結果、住宅ローンの供給には、民間金融機関の健全性が影響していることが明らかにあった。民間金融機関の健全性が揺らいでいる昨今において、(公的関与がなくなると)住宅金融分野に安定的に資金が流れなくなる恐れがあることが示唆される。 「保険市場の自由化と日本の保険会社:日米保険協議の分析,(共著『(財団法人・損害保険事業総合研究所)損害保険研究』第64巻第2号、2002年)では、保険市場の自由化が保険会社に与えた影響を分析した。自由化は、保険会社にとってマイナスの影響があるという結果が得られた。逆に言えば、これまでの規制は、消費者の利益を損なって、保険会社を保護していた可能性が強いと判断できる。 「新世紀の中小企業金融の揺らぎと金融仲介機関」(『商工金融』第52巻9号、2002年)および、「長期不況下における中小企業金融と信用保証協会の役割」(『信用保証』104号、2002年)においては、中小企業の立場から金融機関の貸出態度について分析した。その結果、健全性が低い金融機関ではリスクの高い中小企業貸出に消極的になることが明らかになった。民間金融機関の中小企業貸出を補完するために公的な関与(たとえば、信用保証制度)が不可欠であると考えられる。 また、ペイオフ解禁について、一般預金者の立場から反対論を展開した。その論考は、中部経済新聞などに発表し、また、金融学会や各種の研究会で報告した。さらに、著書の形で出版できるように現在準備を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 家森信善: "ビッグバンの進展と民間住宅金融の展開"(財団法人・住宅金融協会)住宅問題研究. 18(2). 3-29 (2002)
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[Publications] 家森信善, 小林毅: "保険市場の自由化と日本の保険会社:日米保険協議の分析"(財団法人・損害保険事業総合研究所)損害保険研究. 64(2). 63-95 (2002)
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[Publications] 家森信善: "新世紀の中小企業金融の揺らぎと金融仲介機関"商工金融. 52(9). 26-33 (2002)
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[Publications] N.Yamori, K.Kondo: "How did Japanese banks make cutbacks in the 1990s?"International Journal of Business. 7(1). 45-81 (2002)
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[Publications] 家森信善: "長期不況下における中小企業金融と信用保証協会の役割 2002年10月"信用保証. 104号. 2-6 (2002)
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[Publications] 家森信善, 浅井義裕: "新しい金融システムの中でのコーポレートガバナンスの担い手としての生命保険会社"生命保険論集. No.141. 111-140 (2002)
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[Publications] 藤原賢哉, 家森信善ほか合計14名: "金融論入門"中央経済社. 219 (2002)