2003 Fiscal Year Annual Research Report
金融サービスの利用者の視点から見た金融システムのパフォーマンスに関する実証的研究
Project/Area Number |
14530108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家森 信善 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80220515)
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Keywords | 金融システム / 生活者金融 / ペイオフ / 中小企業金融 / 住宅ローン / リレーションシップバンキング / 信用保証制度 / ガバナンス |
Research Abstract |
金融サービスの利用者として、生活者と中小企業を分析の中心にした。まず、生活者の資金運用に関しては、金融システム不安が続く中、ペイオフ解禁の是非が大きな話題になっている。そこで、『信頼できる銀行ってこんなに簡単にわかるんだ』(中央経済社2003年4月)を刊行して、ペイオフ解禁論の問題点を一般読者向けにわかりやすく解説した。また、「ペイオフ解禁問題と預金者保護」(『金融機関の組織形態と規制・監督』金融調査研究会報告書30号2003年11月)や、「ペイオフはグローバルスタンダードか」(『生活経済学研究』2004年3月)でも、生活者の立場からペイオフ解禁論の問題点を分析した。また、生活不安を支える生命保険も生活者にとって重要な資金運用商品である。この面では、「ディスクロージャーの強化で生命保険会社の評価は容易になったか?生保ディスクロージャーと格付け」(共著『生命保険論集』2004年3月)や、「保険業法改正:生保は十分な説明を」(『中日新聞』2003年7月18日)などの研究を発表した。次に、生活者の資金調達面では、住宅ローン市場の分析を行い、「金融システム改革は住宅金融市場にどのような影響を与えたか?」(生活経済学会提出成果報告書2003年8月)としてとりまとめた。なお、本論文を基にして、2004年5月開催の生活経済学会全国大会において研究成果を報告する。 中小企業金融に関しては、『地域金融システムの危機と中小企業金融-信用保証制度の役割と信用金庫のガバナンス-』(千倉書房2004年3月)を刊行した。本書では、中小企業金融の現状を分析し、情報の非対称性が深刻な中小企業では、リレーションシップバンキングに頼らざるを得ないという認識の下で、信用保証制度の役割と今後の課題について論じ、また、中小企業金融の担い手である信用金庫のガバナンス問題を多角的に論じた。
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[Publications] 家森信善, 西垣鳴人: "わが国の公的金融改革と民営化先進国からの教訓-ニュージーランドにおける郵便貯金事業の経験を中心にして-"郵貯資金研究. 11巻. 65-89 (2003)
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[Publications] 家森信善: "ペイオフはグローバルスタンダードか"生活経済学研究. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 家森信善, 浅井義裕: "ディスクロージャーの強化で生命保険会社の評価は容易になったか?生保ディスクロージャーと格付け"生命保険論集. (掲載予定). (2004)
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[Publications] M.Spiegel, N.Yamori: "Financial Turbulence and the Japanese Main Bank"Journal of Financial Services Research. 23(3). 205-223 (2003)
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[Publications] M.Spiegel, N.Yamori: "The Impact of Japan's Financial Stabilization Laws on Bank Equity Values"Journal of Japanese and International Economies. 17. 263-282 (2003)
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[Publications] 家森 信善: "地域金融システムの危機と中小企業金融-信用保証制度の役割と信用金庫のガバナンス-"千倉書房. 156 (2004)