2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530110
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 喜久 広島大学, 経済学部, 助教授 (50311808)
|
Keywords | 空売り規制 / 市場監視能力 / 証券取引等監視委員会 / ボラティリティ / 情報流入仮説 / 構造変化 |
Research Abstract |
株式市場における作為的相場形成を実証的に分析するにあたり、作為的相場形成が行われる株式市場の環境およびその実態面を理解するために、主として以下の二つの観点から研究を行った。 一つは、前年度に引き続き証券取引等監視委員会による証券市場のエンフォースメントに関する現状分析である。平成四年に設立された証券取引等監視委員会は、その機能、活動状況を見たとき、いくつかの課題があることが明らかになった。第一に、監視機能重視の組織のあり方であり、米国のSECなどのトータルな規制機関としての役割を求める事はできない事である。第二に、市場規模に対して十分な監視機能を果たすには、更なる監視委員会の体制の整備が必要な事である。第三に、市場監視に必要な権能についてはコンセンサスが得られておらず、有効な取り締まり手段の検討が必要な事である。その他、国際取引や情報革命などへの対応といった事への対応についても課題が残されている。 もう一つは、風説の流布といった情報の市場への流入が相場形成に至るプロセスに関する分析である。前年度構築した上場個別銘柄日次収益率および各個別銘柄毎の取引高に関するデータベースを用いて、個別銘柄の相場形成に影響を及ぼすと思われる情報の識別を行い、その価格への伝播プロセスを検討した。情報流入仮説に従い、取引高を市場への情報流入量の代理変数として扱い、一定規模以上の情報流入と価格(収益率)変動とのタイミング、情報流入規模と価格変動との因果関係、およびこれらの価格変動の持続性への影響などについて実証分析した。その結果、第一に、情報流入量と価格変動との相関関係には構造変化が検出されること、第二に、価格変動が持続性を示している期間では一定規模の情報流入であってもその影響を識別できないこと、第三に、パラメタライズされたモデルを仮定した場合、推計結果の解釈には恣意性が大きく影響するため、セミパラメトリックなモデル設定が必要なことなどが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)