2003 Fiscal Year Annual Research Report
EU(欧州連合)におけるICT化と成長のための金融インフラ形成に関する研究―資金循環の長期時系列比較分析を中心に
Project/Area Number |
14530111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩田 健治 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50261483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 素香 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20094708)
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Keywords | EU(欧州連合) / ICT(情報通信技術) / IT革命 / 長期波動 / 資金循環 / 証券市場 |
Research Abstract |
本研究は、(1)欧州経済のICT化の現状とその影響に関する実物分析、(2)EU域内各国と日米の部門別資金過不足の長期時系列比較分析を遂行する金融分析、(3)EUによる「ICT化と成長企業のための金融インフラ形成」政策の評価からなる。本年度は、当初計画通り欧州での現地調査・研究会を実施し、それを中心に上記3課題を並行的に進めた。欧州現地においては、田中、岩田が、独ハンブルグのHWWA世界経済研究所において現地研究者との間で2日間にわたる国際ワークショップ"German Economy, Japanese Economy, and the Eastern Enlargement of the EU"を開催し、実物面(ユーロ導入以降EU域内の「不況地域」へと転化しICT化も遅れるドイツ経済と日本経済との比較等)、金融面(ICTバブル崩壊によるバランスシート毀損が懸念されるドイツ銀行業の状況と資金循環面からみたいわゆる「金融構造変容交差」の評価等)それぞれについて、EU(とりわけその中心国ドイツ)と日本が共通する直面する諸問題についてディスカッションを行った。またブリュッセルにおいて欧州委員会メンバーとのディスカッションおよびEUが出した金融分野での最新の研究報告Quantification of the Macro-Economic Impact of Integration of EU Financial Marketsの翻訳に関する打ち合わせを行った。さらに本研究の最終年度である2004年5月には中東欧10カ国のEU加盟が予定されているため、これらの諸国における金融インフラ形成の現状把握が本研究の不可欠の要素となってきている。そのため、ワルシャワ・ブダペスト・プラハにおいて聞取り調査も実施した。それに先立ち国内研究会および研究打合わせを弘前および札幌において実施し、新規EU加盟諸国の実物・金融面の現状に関する分析を進めた。その過程で、これら中東欧諸国における資金循環その他の金融データのEUデータヘの整合化と整備が、ECB(欧州中央銀行)を中心に急速に進められている現状が把握できた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 岩田 健治: "ヨーロッパ統合下の金融・資本市場"新版国際金融論-グローバル金融危機の構造(尾上修悟編著)(ミネルヴァ書房),第5章所載. 129-151 (2003)
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[Publications] 岩田 健治: "EUの通貨統合"現代国際金融論 第2版(上川孝夫, 藤田誠一, 向壽一編著)(有斐閣)第16章所載. 307-326 (2003)
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[Publications] 岩田 健治: "調達投資通貨としてのユーロ"ユーロと国際通貨システム(田中素香, 藤田誠一編著)(蒼天社出版)第6章所載. 119-146 (2003)
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[Publications] 田中 素香: "グローバリゼーションと為替相場制度"ユーロと国際通貨システム(田中素香, 藤田誠一編著)(蒼天社出版)第3章所載. 43-67 (2003)
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[Publications] 田中 素香: "国際通貨ユーロとユーロ圏"ユーロと国際通貨システム(田中素香, 藤田誠一編著)(蒼天社出版)第5章所載. 90-118 (2003)
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[Publications] 田中 素香: "世界およびユーロ中央銀行制度の金外貨準備の動向とユーロの最新局面"ユーロと国際通貨システム(田中素香, 藤田誠一編著)(蒼天社出版)終章所載. 313-333 (2003)
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[Publications] 田中素香, 藤田誠一編著: "ユーロと国際通貨システム"蒼天社出版. 338 (2003)