2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530115
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
細野 薫 学習院大学, 経済学部, 助教授 (80282945)
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Keywords | 市場規律 / 預金保険 / 銀行規制 |
Research Abstract |
本研究は、預金者による規律付けの理論分析と実証分析の2部からなる。 理論分析では、預金保険のもとで、預金者による銀行の選別がどのような条件で起こりうるのか、また、預金者による銀行選別がどのように銀行経営者のリスクテークに影響を及ぼすかを解明した。とくに、政府による銀行救済政策が預金者による規律付けを無効にし、銀行のリスクテークを助長してしまうことが強調されている。 実証分析は、90年代における日本の全国銀行のデータを用いた研究と、世界の銀行のデータを用いた研究からなる。 まず、日本の実証結果によれば、預金増加率と預金金利はそれぞれ銀行のリスク指標との負、正の相関が見られ、預金者による選別行動が観察された。特に定期預金の増加率とリスク指標との相関は、ペイオフ解禁(2002年3月)の直前に高まっており、預金の全額保護措置がリスク感応度を低めていたことがわかった。 次に、世界63カ国の約20,000に及ぶ銀行・年データと各国の銀行規制や法制度などのデータを整備して実証分析を行った(鶴光太郎氏、岩城裕子氏との共同研究)。この結果、銀行規制が甘いほど、また、法による統治の程度が低く、金融資本市場が未発達なほど、預金者のリスク感応度は高く、預金者による規律付けが機能していることがわかった。これは、規制当局が預金者の代表として銀行を監督するという「代表仮説」と整合的であり、政府による規制と市場規律が代替的に機能していることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kaoru Hosono: "Market Discipline and Forbearance Policy to Banks"Nagoya City University Discussion Paper Series in Economics. 339. 1-28 (2003)
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[Publications] Kaoru Hosono: "Depositor Discipline during the Banking Crisis in Japan"Gakushuin University, Research Institute of Economics and Management, Discussion Paper Series. 04-1. 1-57 (2004)
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[Publications] 林敏彦, 松浦克己, 米沢康博編: "日本の金融問題-検証から解決へ-細野薫「銀行に対する市場規律と政府の救済政策」"日本評論社. 435(143-166) (2003)