2002 Fiscal Year Annual Research Report
公共サービス・マネジメント論争と「高等教育の質」財政に関する研究
Project/Area Number |
14530120
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
柳ケ瀬 孝三 立命館大学, 経営学部, 教授 (40036398)
|
Keywords | 公共サービス / 大学財政 / 高等教育 / 地方政府・財政 / マネジメント / マネジリアリズム / 専門職 / アドミニストレーター |
Research Abstract |
本年度の主要活動とその特筆すべき成果について述べる。第1に、英国の公共サービスと高等教育における民間企業マネジメント経験の導入過程を1960年代と1980年代以降とを対比しながら、また専門職性とマネジメント性との相関関係に着目しつつ、論争的研究を吟味し総括する作業を大きく前進させることができた。とくに、1990年代始めには、大学の教育・研究評価とかかわってマネジリアリズムにかかわる論争が英米両国の研究者の間でも非常に活発に行われ、それらがいくつかの研究成果となっていることが明らかになり、それらを含めた総括が可能となった。また、マネジリアリズムに関して、1997年の労働党政権以後との比較も前進させることが出来た。第2に、9月に11日間の英国調査を行い、バーミンガム大学地方政府研究センターのJ・スティワート教授からのヒヤリング、アストン大学のヒヤリング・資料収集、マンチェスター大学のビジネス教育関連の再編計画のヒヤリング・資料収集、英国大学アドミニストレーター協会のヒヤリング・資料収集、ロンドンのHEFC, UK大学協会、AUTのヒヤリング・資料収集などを行った。とりわけ、このなかでは、政府資金配分と大学再編との関連の具体的な問題点を浮き彫りにできたことが貴重であった。とくにそのなかでアストン大学の事例は、なお立ち入った調査が容易でないほどに大きな傷跡?となっている向きも感じられ、英国における工科系大学の位置をめぐる重要な論点を視野におくことができた。また、administrationとmanagementとの関係が地方政府分野と大学とでは違った受け止めが顕著であるとの印象を深くした。第3に、日本の国立大学の「国立大学法人」化問題の進展とかかわって、国立大学事務機構の再編動向とマネジメント課題との関連などが深まり、英国におけるアドミニストレーター養成のありかたとの比較、あるいは、日本におけるそれら教育のありかたとかかわる論点が重要なものとして追求できたことが大きい成果である。以上の成果の一部をまとめて、立命館経営学に発表する準備を進行させている。
|