2003 Fiscal Year Annual Research Report
公共サービス・マネジメント論争と「高等教育の質」財政に関する研究
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14530120
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
柳ヶ瀬 孝三 立命館大学, 経営学部, 教授 (40036398)
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Keywords | 高等教育 / 大学財政 / マネジメント / 大学ガバナンス / MBA / 専門職 / アドミニストレーター / 公共サービス・マネジメント |
Research Abstract |
第2年度として引き続き日英両国における公共サービス・マネジメントの進展と「高等教育の質」財政の管理と改革の動向に注目した研究活動を遂行しつつ、問題の焦点が高等教育関連予算の抑制・効率化圧力下での大学マネジメント導入を担うアドミニストレーターの養成問題へと移動しつつあることを切り口とする作業を重点的に行った。とくに2002年秋より注目のなかでスタートしたロンドン大学教育インスとウオーリック大学との上級マネージャー向きの「高等教育マネジメントのためのMBA」プログラムを追跡するために英国大学現地調査を行った。第1に、当MBAプログラムの一方のコーディネータで教育インスで旧知でもある名誉教授のGareth Williamsは92年刊行のChanging Patterns of finance in Higher Educationを今日まで引き伸ばしたThe Higher education Market in the United Kingdom(その要約版はIDE2004.3号掲載)をちょうど執筆しており、プログラムの背景を的確に捉え関連した動向をヒヤリングし資料収集するうえで有益であった。第2に、他方のコーディネータであるウオーリック大学の元事務局長で現在教育インスの教授であるMichael Shattockは、英国訪問直前に入手した彼の新著、Managing Successful Universitiesにより英国大学におけるウオーリック大学の成功例を背景に理論化をすすめており、ウオーリック大学の上級アドミニストレータとのヒヤリングや現地見聞を直接行うとともに、彼かもヒヤリングならびに資料収集することができた。第3に、当MBAの主要講師でもあるグリニッジ大学のIan McNay教授からは彼の大学ガバナンス分析や戦略的経営論ならびにMBA教育論に関する貴重なヒヤリングならびに資料収集することができた。第4に、今回は教育インスにおいてPhDを取得したばかりの横山恵子女史から専門的知識に提供を始め、連絡調整や通訳など多様なサポートが選られたことも今回の英国調査の成果をいっそう大きなものとした。他方、日本での調査活動においては、国立大学法人移行を控えたなかで、とくに大学を経営的な合理性視点からのみ捉えるだけでなく、教育研究のアカデミック・ワークがもつ専門職社会の特質を捉える文化的視点の強調の強まりが見られるところに直面し、重要な問題展開を捉えることができた。
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