2004 Fiscal Year Annual Research Report
公共サービス・マネジメント論争と「高等教育の質」財政に関する研究
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14530120
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
柳ケ瀬 孝三 立命館大学, 経営学部, 教授 (40036398)
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Keywords | 公共サービス・マネジメント / ニュー・パブリック・マネジメント / 知識社会(知識基盤社会) / 人間発達支援 / 大学アドミニストレーター / 大学経営 / ソフト・インフラ / インフラ・マネジメント |
Research Abstract |
2年間の研究調査の実績をふまえて、本年度は全体のまとめと発表に向けた作業ならびに補足的テーマの追究を行った。第1に、公共サービス・マネジメント論争の研究まとめには、とくに教育、福祉、医療など専門職の役割が決定的な分野におけるマネジメント思想・手法の1960年代と1980年代以降の変化と発展--連続性と非連続性--の究明が理論的にいっそう重要であることが明らかとなり、さらに研究を深めた。その内容の一部を「人間発達支援の社会システム」に関する論文にまとめた。第2に、とくに英国高等教育分野におけるニュー・パブリック・マネジメントの展開を、バーンバウムが米国高等教育管理を念頭に「モア・ビジネス・ライク(ビジネス風)」から「モア・ライク・ア・ビジネス(ビジネスとして)」への転換、すなわち、「知識産業のマネジメント」への展開として語ることとの英米間の異同の吟味を手がかりに、1960年代以来今日までのいわゆる「知識社会」論の展開過程を再吟味する作業をかなり突っ込んで行った。第3に、マネジメントに関する上記2つの時期における連続性の点でドラッカーの『断絶の時代』1969年の再吟味を行い、それがサッチャー政権による「プライバタイゼーション」用語の借用に象徴される、「大きい政府」批判=「小さい政府」移行と平行しうる「多元化社会」「組織社会」「マネジメント社会」「知識社会」などの議論との関連性を辿り、目下、知識・専門職・社会への移行論と公共サービス・高等教育・マネジメントとの関連を軸とする「知識社会のインフラ・マネジメント(仮称)」論文をまとめる作業を行っている。第3に、昨年度行った大学のアドミニストレーターないしマネージャー養成をめぐる英国での教育・研究の実情調査を踏まえて、本研究の成果の一環となる取り組みとして、勤務大学において実施した中国の大学上級職員研修としての「中国・大学管理運営向上プログラム」の取り組みへの参加および講師活動を行った。(担当テーマ:『大学経営の考え方と管理運営』)第4に、引き続き、1960年代ならびに1980年代以降における本テーマに関連する重要文献や資料をさらに精力的に入手し分析しつつある。これらの研究成果はいま少し時間を要するところであり、作業中の単著『ソフト・インフラの財政理論』のなかで発表することを予定している。
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Research Products
(1 results)