2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530152
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Research Institution | Ninon University |
Principal Investigator |
小阪 隆秀 日本大学, 商学部, 教授 (20120446)
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Keywords | グローバル戦略 / 自動車産業 / 自動車生産 / 東アジア経済圏 / 拡大再生産 / 相互依存的ネットワーク |
Research Abstract |
日本自動車企業の東アジア進出とそこでのグローバル戦略の特徴は、北米への進出の場合と大きく異なっている。後者では、NUMMIの成功に見られるように、日本的経営の基本的な構成要件の充足を実現可能にするとともに、米国式の経営手法も取り入れて「ハイブリッド」生産や経営を実現してきた。だが前者では、進出現地に自動車産業(組立と部品生産)と呼べるものがほとんどなく、また関連産業も十分ではなかったため、「ハイブリッド」を形成する構成要素がなかった。とりわけASEAN諸国では、全体的は技術水準も低く市場規模も小さいため、今日の高度でかつ大規模な設備を必要とする自動車生産を行うには、あまりにも高い障壁があった。日本企業は、このような障壁を越えるために、この地域全体をひとつの経済圏として、技術開発・機能部品生産・標準部品生産・最終組立などの製造活動を国別に分散化しながら、自動車生産のための組織をネットワーク化し、その全般的な技術水準を段階的に高めていく必要があった。 このような大きな枠組みのもとで、この東アジア経済圏は2つの発展タイプを形成しながら成長してきている。すなわち、タイプ1は、製品技術と生産技術を先進国に依存しながらも、自国市場と外国市場への販売力を高めることによって、拡大再生産を可能にしている。韓国および中国の自動車企業がこれに該当する。タイプ2は、技術依存は同じであるが、部品調達や自動車の販売市場が自国のみではあまりの狭いため、近隣諸国が相互依存的ネットワークを形成することで拡大再生産を図っている。ASEANの自動車企業がこれに該当する。 本研究では、この様なタイプを識別し、その競争力源泉を検討するとともに、それを踏まえて、日本企業が世界の自動車企業に対してどのような競争優位を形成しえるかを検討してきた。
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