2002 Fiscal Year Annual Research Report
戦後西ドイツにおける労使共同決定システム形成の研究
Project/Area Number |
14530153
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平澤 克彦 日本大学, 商学部, 教授 (70181154)
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Keywords | 共同決定性 / 経営評議会 / 労働組合 / 占領政策 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究の課題は、ドイツ企業の労使共同決定体制の形成を考察することで、共同決定制形成の労使関係における意義を明らかにすることにあった。 ドイツにおける労使関係の特徴は、企業、ないし経営での経営評議会の設置と、企業の最高意志決定機関への労働者代表の派遣が法律によって規定されていることにある。けれども、このような労働者の参加制度は、すでにワイマール時代に法制化されていたのである。したがって第二次大戦後の労使共同決定体制は、ワイマール時代に生まれた経営参加制度の復活、ないし展開と理解されてきた。だが、そのさい、戦後、ドイツ経済の新たな構築の過程で共同決定制が導入され、そのさい労使ともに労使関係の新たなあり方を模索していたことを看過できない。この研究では、共同決定制の形成を戦後直後の労働運動との関連から考察することを分析の視角としているが、そのさいとくに重要になるのが、経営評議会である。従来、戦後直後に結成された経営評議会が、労働組合再建の基盤となるとともに、共同決定要求を行うなど広範な活動を展開していたと理解されてきた。だが近年、ドイツでもこのような理解が十分に実証されていないと指摘されてきた。とはいえ、経営評議会の活動については十分な資料が残されていないため、この研究では占領地域の研究の検討と、文書館の資料による考察を行った。 一般に労働組合は経営評議会を基盤に下から形成されたとされるが、古参の労働組合メンバーが中心になり労働組合がいわば上から形成されることもあったが、敗戦直後には経営評議会と労働組合は密接な関係にあった。また、敗戦直後、経営評議会はきわめてラディカルな活動を行っていたとされるが、文書館の資料をみるかぎり、協議機関として一般的な活動をしていたことが明らかになった。今後、こうした成果を基盤に、共同決定制の生成の意義を考察することにしたい。
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