2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦後西ドイツにおける労使共同決定システム形成の研究
Project/Area Number |
14530153
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平澤 克彦 日本大学, 商学部, 教授 (70181154)
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Keywords | 企業共同決定制 / 経営評議会 / 占領政策 / 労働者政党 / 統一組合 / 産業別組合 |
Research Abstract |
本研究の課題は、1947年のルール鉄鋼業への企業共同決定制の導入を、第二次大戦直後に展開した労働運動、政党の再建活動、さらに占領軍の労働政策にまでたちいり、企業共同決定制形成の労使関係における意義を問うことにあった。企業共同決定制の形成については、近年、その導入の背景となった敗戦直後の労働運動や、占領軍の労働政策などが注目されるようになった。本研究では、こうした研究に依拠しながらも、かかる研究の論点になった問題を実証的に再検討することで研究課題に応えることにした。 労使共同決定制の形成は、労働組合の再建と密接に関わっており、そのさい労働組合と経営評議会との関係が一つの論点となった。まずブレーメンの事例を中心に労働組合と経営評議会とは必ずしも敵対的な関係と把握できないことをみた。とはいえ、ブレーメンで労働運動の統一を規定した反ファシズム委員会の解散したシュトットガルトでは、労働運動の統一という要求にもかかわらず運動路線の異なる経営評議会の共存が見られた。こうした路線対立のなかで、左翼勢力の分裂を背景に統一組合なる路線が対立の争点となったことをルール地方の事例を中心に検討した。また争点となった統一組合路線の転換について、イギリス軍の政策をも考慮しながらケルンの事例を中心に検討を行った。これまで敗戦直後の経営評議会の活動をラディカルなものと把握されることが多かったが、ルール鉄鋼業に残された経営評議会の議事録や工場長の記録などから経営評議会活動の内容を明らかにした。経営評議会の活動は、指摘されるほどにラディカルなものではなく、争点となった「統一組合」路線は、占領軍の介入のもとで産業別組合路線の採用で解決し、労使関係の枠組みが形成されることになった。今後、経営協定をめぐる労使の対立と、それを背景とする企業共同決定制の導入を明らかにすることで本研究の課題に応えることにしたい。
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Research Products
(2 results)