2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後西ドイツにおける労使共同決定システム形成の研究
Project/Area Number |
14530153
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平澤 克彦 日本大学, 商学部, 教授 (70181154)
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Keywords | 経営評議会 / 企業共同決定制 / 社会民主党 / キリスト教労働組合 / 共産党 / 傾向組合 |
Research Abstract |
本研究の課題は、戦後ドイツにおける労務管理の展開を規定してきた労使共同決定システムの性格を、とりわけ敗戦直後から進められた労働運動との関連から明らかにすることにあった。すでに周知のように敗戦直後には、連合軍により労働組合の活動が禁止されていたために、労働運動の担い手となったのは、経営評議会であった。これまで経営評議会の組織化は、職場労働者により自生的に進められたと把握されてきたが、労働組合の活動家によっても設立されてきたのである。このような労働運動で特徴的なことは、ヴァイマール時代に政治的傾向の違いから労働運動が分裂してきたという反省から、統一的な労働組合の結成が求められてきたことである。かかる労働運動のなかで社会民主党や共産党の勢力などの協力も進められていた。とはいえ連合軍の介入などとともに、職場では社会民主党勢力と共産党のメンバーとの対立が深まり、ヴァイマール時代には相互に敵対していたキリスト教労働組合を統合した統一組合が設立されたのである。 統一組合の設立とともに労働組合と経営評議会との分断も明確になるが、そのさい問題になったのは、経営評議会の共同決定権であった。実際、ルール鉄鋼業では経営評議会が監査役会にとどまらず、取締役会の労使同数構成を求めていたのである。当時、社会民主党だけでなく、キリスト教労働組合でも労使共同決定を求めており、経営側と非公式な接触を行っていたといわれている。社会民主党系の組合幹部たちも、労働組合運動の統合策として労使共同決定を要求していたのであり、1947年に導入された企業共同決定制は、まさにこのような労働組合運動の転換を背景に、経営評議会の共同決定要求に応えつつ、労働者を労働組合運動に統合することにその課題があったと考えられるのである。
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Research Products
(3 results)