2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530158
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 信次 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (90218446)
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Keywords | 対日直接投資 / 外資系企業 / OLIフレームワーク / 戦略提携 / 後天的資産 / 撤退 |
Research Abstract |
昨年度の予備的調査に引き続き、今年度も、対日直接投資の理論仮説の構築に向けて作業を行った。その際、日本で事業展開を行う外資系企業の新しい経営戦略を抽出・モデルに反映させることを重視し、外資系企業総覧などのデータベースや新聞雑誌等の記事に基づく情報の整理、ヒヤリング調査をベースとした研究者・研究機関(内閣府、日本総研、MSK基礎研究所など)との意見交換を通じ、慎重に考察を進めた。その結果明らかとなったことは、以下の諸点である。 ・立地優位(L)に関しては、日本市場の魅力の乏しさ(過当競争などにより平均利潤率が低い)は減少し、魅力はあったとしてもこれまであったような新規参入に対する障壁の存在は大幅に後退し、伝統的なL優位性は総じて向上しつつある。 ・対日直接投資は金融や商業、通信、一部製造業に集中しており、外資系企業の進出状況は業種によるばらつきが大きい。したがって新しいタイプのL優位の投割を、多国籍企業の所有優位(O)と内部化インセンティブ(I)と連結させながらとらえていくことが、これまで以上に重要となってくる。 ・こうしたことから対日直接投資のパフォーマンスには多国籍企業の競争戦略の有り様(競争優位の構築)が大きく関わっていることが示唆される。日本市場で成功を収めている外資系企業だけでなく、日本市場からすでに撤退した外資系企業、日本市場に結局のところ参入しなかった多国籍企業も含めて、詳細に事例研究を行い、多国籍企業の競争戦略と対日進出行動を有機的に関連付けながら理論仮説を構築していくことが重要となる。 これら諸点に留意しながら、最終年度においては、対日直接投資の理論・実証分析を行い、対日投資誘致に向けてのあるべき政策提言を行う予定である。
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