2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国の家電・パソコン・自動車産業におけるトップ企業の成長戦略に関する研究
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14530164
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
陳 晋 沖縄大学, 人文学部, 教授 (20341670)
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Keywords | 競争排除政策 / 競争力蓄積 / アーキテクチャ / 業界競争の度合い / 競争のグローバル化 |
Research Abstract |
「世界の工場」になりつつある中国の製造業を取り上げ、企業戦略論の枠組を適用しつつ、もっとも代表格にあげられる自動車産業と家電産業に参入して大量生産の確立を目指す中国上位メーカーの戦略構築や競争力蓄積の成果と問題を比較的に検討した。あわせて、WTOの加盟にともない、中国製造業のダイナミックな変化、およびグローバル化を踏まえた企業行動のゆくえを分析した。 中国の自動車メーカーは1950年代に大量生産方式を導入し形成され、すでに半世紀の発展を経たにもかかわらず、政府による産業政策の保護を受けたまま、未だに「幼稚産業」といわれるように小さくて弱い。中国の上位自動車メーカー、特に乗用車メーカーは、外資系企業との直接的な競争を回避し、むしろパートナーとして外資系企業に新たな協力を求めている。乗用車の構造が、先進国では「擦合せ」にシフトしたにもかかわらず、中国では競争力の不在からモデルチェンジや研究開発が阻害され、「擦合せ」構造における能力蓄積が進まなかった。 一方、中国の家電メーカーに対する政府によるコントロールは70年代末から80年代半ばまで一時強化されたが、80年代の後半になると、家電製品の生産が売り手市場から買い手市場へ転換したため、ほぼ不可能になった。その中、80年代に後発の家電メーカーは、厳しい国内市場競争でしのきを削ってたたかい、現場の生産管理能力、市場の販売・サービス能力や製品の開発能力を高めて、着々に伸びて強くなっていた。市場経済の波を乗って急速に拡大し、先発の政府「指定メーカー」と入れ替わって頭角を現し、業界の上位に上ってきて、さらに、多国籍企業と連携しながら、国際市場の競争にも加わっていた。 とりわけ2003年現在、中国国産ブランドの冷蔵庫、洗濯機、カラーテレビなど家電製品の国内シェアが80%前後を占めていることに対して、中国国産ブランドの乗用車の国内シェアは20%にも達していない。また、2003年主要家電製品の海外への輸出を見れば、カラーテレビ生産量の約半分、冷蔵庫生産量約4割、エアコン生産量の約三分の一、洗濯機生産量約2割が輸出していたことに対して、自動車完成車の輸出は国内生産量の1%しか占めていない。しかも、そのうち乗用車はほとんど輸出されていない。そして、中国のWTO加盟と経済のグローバル化に伴い、中国の家電メーカーは、相次いで積極的に海外市場に進出し、現地生産や販売ネットワーク作りなどに乗り出しつつある。対する中国の自動車メーカー、特に乗用車メーカーは、外資系メーカーとの直接的な競争を回避し、むしろパートナーとして中国に進出してきた外資系企業に新たな協力を求めている。
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Research Products
(2 results)