2002 Fiscal Year Annual Research Report
企業結合の会計規制が企業行動と市場の株価形成に及ぼす影響に関する理論・実証研究
Project/Area Number |
14530172
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
薄井 彰 法政大学, 経済学部, 教授 (90193870)
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Keywords | 企業価値関連性 / 会計情報 / 会計数値 |
Research Abstract |
企業結合に関する会計規制が株価に及ぼす影響に関する実証モデルの特定化を行った。最初に、日本の一般に認められた会計原則(GAAP)にもとづく会計数値と株価の関連性を調査した。利益、株主資本簿価、利益一簿価、タイムトレンド付き利益-簿価、Ohlson(1995)モデルが、1967-2001年の期間に東京証券取引所に上場している531社に対して推計される。その結果、利益-簿価(タイムトレンド付き)モデルが株価の水準と変動をよりよく説明していることが明らかになった。さらに、株価水準にもとづくモデルは、残差項の系列相関が高く、関連性の尺度として決定係数が過大評価される傾向にあることがわかった。企業価値関連性の観点から、会計情報の有用性を評価するた際には、株価をサイズ(株価、資産)によって基準化した実証モデルで評価することが必要である。さらに、合併プレミアムを推計するために、株主資本の市場評価(時価)と会計上の評価(簿価)の乖離がどのような要因によってもたらされるのかを実証的に分析した。分析の結果、企業特性に関しては、ROEや売上高成長率でみた収益の成長性の高い企業は、企業要因より会計上の認識ラグ要因のほうが会計の保守性に与える影響が大きいとの結果が得られた。また、ステークホルダー間のコンフリクトについては、株主と債権者が利益分配に関してコンフリクトが大きいほど、また、株主と従業員が利益分配に関して短期的にコンフリクトが大きいほど、保守的な会計を選択する傾向にあることが示された。
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Research Products
(1 results)