2002 Fiscal Year Annual Research Report
随伴変分法による楕円型方程式の境界値逆問題の直接的数値解法
Project/Area Number |
14540099
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 玄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50118535)
代田 健二 茨城大学, 理学部, 助手 (90302322)
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Keywords | 偏微分方程式 / 逆問題 / 変分法 / 境界値問題 / ラプラス方程式 / コーシー問題 / 数値解析 / 境界要素法 |
Research Abstract |
典型的な二階楕円型偏微分方程式であるラプラス方程式,ポワッソン方程式や静弾性のラメの方程式に対して,伝統的なコーシー問題や境界値問題は勿論のこと,不足決定系や過剰決定系をも含む問題を,領域の境界部分に何らかのデータを与えて領域内部で方程式を満たす解を求めようとする意味合いから,新しくこれらを総称して境界値逆問題と名付けた.このような境界値逆問題に対する数学的な理論を背景として,工学上の応用を強く意識した近似解法,とりわけコンピュータの活用を前提とした数値解法を研究した. 境界値逆問題自体の解の特性、即ち,データの与え方によっては解は存在しないことがあり,たとえ存在しても、解は一意であるとは限らず,その上,解についての先見的な条件を付与しない限り,境界上で与えられたデータに解は連続的に依存しないという数学的な特性を踏まえて,近似解法の健全化を図らなければならない.健全化の第一歩として適当な汎関数を定めて,境界値逆問題を制約条件付の変分問題へと帰着させた.その際,解の存在性と一意性を確保するために正則化項を汎関数に付け加えた.このようにして汎関数に凸性を持たせることにより,変分問題自体の解の一意存在と安定性とを確保した. ラプラス方程式について,制約条件を原問題とし,原問題に対する随伴問題を考慮することにより汎関数の第1変分を具体的に求めることができた.原問題・随伴問題は双方ともラプラス方程式についての伝統的な混合境界値問題となり,第1変分もまた境界上での値のみに関するものなので,数値解法には境界要素法を適用して問題の全てを離散化した.全体を一つの連立一次方程式に纏め,消去法によって直接解いた.いくつかの例題に応用して本法の有効性を確かめるとともに,特異点を持つ問題に適用して,特異点検出法についての新たな手法にたどり着いた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Ohura, Q.Wang, K.Onishi: "On identifying Dirichlet condition for under-determined problem of the Laplace equation by BEM"International Journal of Engineering Analysis with Boundary Elements. Vol.28. 87-93 (2002)
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[Publications] K.Hayashi, Y.Ohura, K.Onishi: "Direct method of solution for general boundary value problem of the Laplace equation"International Journal of Engineering Analysis with Boundary Elements. Vol.26. 763-771 (2002)
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[Publications] K.Hayashi, Y.Ohura, K.Onishi: "Direct numerical identification of boundary values in the Laplace equation"Journal of Computational and Applied Mathematics. (accepted). (2002)
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[Publications] K.Shirota, K.Onishi: "Adjoint method for numerical solution of inverse boundary value and coefficient identification problems"Survey on Mathematics in Industries. (accepted). (2002)
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[Publications] K.Shirota, S.Murakami, Y.Ohura, K.Onishi, K.Yasuhara: "Identification of underground hydraulic transmissivity by the variational method from interior measurement of hydraulic heads"Theoretical and Applied Mechanics Japan. Vol.51. 395-400 (2002)
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[Publications] S.Tobe, K.Shirota: "A variational approach for finding the source function of the wave equation"Inverse Problems in Engineering Mechanics (Eds.M.Tanaka and G.S.Dulikravich). III. 227-234 (2002)
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[Publications] C.W.グロエッチュ(著), 大西和榮, 田沼一実, 山本昌宏(訳): "はじめての逆問題"サイエンス社. 177 (2002)