2002 Fiscal Year Annual Research Report
測度値確率過程の特異なクラス及び付随する非線形システムに関する基礎研究
Project/Area Number |
14540101
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
道工 勇 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60207686)
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Keywords | 速度値過程 / 分枝マルコフ過程 / 特異分岐率 / 非線形方程式 / 許容的加法的汎関数 / 超過程 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、(ア)特異な分岐率の広いクラスを設定し、このクラスの特異分岐率に対応する測度値分枝マルコフ過程の存在と一意性がどのような条件下で保証されるかを調べること、(イ)得られた測度値過程の全質量過程の分散の非退化性について調べること、(ウ)対象の確率過程の見本路の正則性について調べること、(エ)測度値確率過程の中で典型的な族をなす超ブラウン運動あるいはドーソン・渡辺超過程に見られる顕著な確率現象の再現性について研究し、特に有限時間消滅性をもつかどうかを明らかにすること、などである。 2.本研究実施計画でも述べた通り、今年度は広いクラスの特異分岐率をもつ測度値確率過程の存在・一意性定理の確立を第一の目標としている。特異分岐率の典型例である双曲的分岐率を含むかなり広い特異な分岐率のクラスを設定し、その特異分岐率に対応する測度値過程の存在を証明した。特異性の出る周辺で分岐率関数の上限をカットした近似分岐率関数列を考え、それに対応する近似超過程列の極限として対象の測度値確率過程が得られることを示した。ここでの収束は有限次元分布の意味での収束である。また得られた極限過程は、想定分岐粒子系の空間方向の移動法則が特異点でキルされたL拡散である、非退化な有限測度に値をとる1次元超過程である。ここでLはヘルダー連続性をみたす係数をもつ2階の微分作用素である。証明に用いた手法は、本研究の独創性・特徴のところでも述べたヒストリカル・アプローチである。すなわち、一旦パスに値をとるヒストリカル過程の言葉に翻訳し直した上で議論し、結果を推論したあと射影操作により元に戻すといった手法である。 3.関連する結果として、(1)非線形性に対するある制約の下で、その非線形性をもった関数に付随して定まるマルチンゲール問題を考察し、対応する超過程の密度過程と2パラメータの白色雑音に依り駆動された非線形方程式との関係を導いた。またその応用として、関連する超過程やそのヒストリカル過程のサポート問題を論じた。(2)ある非線形確率方程式に付随する、ヒストリカル過程に関するマルチンゲール問題を考察し、その密度に関連して定まる連続パス空間上の確率測度の族の相対コンパクト性を証明した。(3)上記2に関連して、考える分岐率の特異性に応じた重み関数をうまくとることに依り、その重み付き分岐率汎関数をもつ超過程の存在や、そのときの近似過程の収束問題で、先の収束より強い意味の過程の分布のスコロホッド空間上での弱収束に関する研究などが進行中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Isamu DOKU: "Historical Approach to the support problem for measure-valued processes associated with nonlinear stochastic equations"J. Saitama Univ. Math. Nat. Sci.. 51・1. 1-12 (2002)
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[Publications] Isamu DOKU: "White noise approach to limit theorems for solutions of some Wick type nonlinear equations"Far East J. Math. Sci.. 4・2. 137-187 (2002)
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[Publications] Isamu DOKU: "Compacite etroite des lois relatives a la densite de processus suggeree par un probleme de martingale"J. Saitama Univ. Math. Nat. Sci.. 51・2. 1-15 (2002)
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[Publications] Isamu DOKU: "Measure valued Markov processes associated with weighted branching rate functional"J. Saitama Univ. Math. Nat. Sci.. 52・1. 1-9 (2003)