2004 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム媒質中のランダムウォークに関する大域的性質
Project/Area Number |
14540126
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱名 裕治 熊本大学, 理学部, 教授 (00243923)
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Keywords | ランダムウォーク / ピン留めランダムウォーク / Wiener sausage / 大偏差原理 / ランダム媒質 |
Research Abstract |
本研究において核になることは,ランダムウォークの多重点の個数に関する大偏差原理を確立することである.その第一段階として訪問点の個数に関する大偏差原理が部分的ではあるが本質的に確立されている.しかし,自由エネルギー関数あるいはエントロピー関数は具体的に求められていない.それを求めるために,ピン留めランダムウォークの訪問点の個数に関して大偏差原理を考えるに至った.昨年度の研究ではピン留めは本質的には大偏差原理には影響しないことがわかり,本年度論文を執筆,完成し投稿した.現在は改訂校を返送している. その研究の過程で3次元の場合だけが,ピン留めした場合としない場合で,平均値の第二項の漸近挙動が異なることがわかった.今までの研究の蓄積をいるとWiener sausageの体積の挙動からの類推が可能で,この場合もやはり3次元の場合は平均値の第二項の増大度の違いが数年前に指摘されていたので,訪問点の個数の場合も同様の現象が起きていることが昨年度の研究で明らかになった.しかし,その第二項がWiener sausageの場合と同様の評価をもつかどうかまではわからなかった.本年度の研究において,ピン留めランダムウォークの訪問点の個数の平均値が3次元の場合は,ピン留めWiener sausageの場合と同様に,第二項が有界であることがわかり,論文の執筆に入った.問題の解決の鍵となったのは,原点から出発するランダムウォークが時刻nで始めて原点に戻る確率のnが大きくなるときの第三項目の減衰度であり,それが時刻nの2乗よりも,冪のオーダーで速いことが必要となる.
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